「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「山怪 弐 山人が語る不思議な話」(田中康弘)

 


(山怪 続編) 山怪 弐 山人が語る不思議な話 続編


以前このシリーズの第一作目を紹介した際に、こうコメントした。


「この本は貴重だ!よく書き残してくれた!あと数十年経てば、取材できなかったのかもしれない…」


「山怪 山人が語る不思議な話」(田中康弘)
http://d.hatena.ne.jp/lp6ac4/20161124


その待望の続編、ついに刊行!ウレシイ〜!(・∀・) 「今回は、東北から中国・四国地方まで新たに取材を敢行、山里に埋もれつつある興味深い体験談を拾い集めた「現在形のフィールドワーク」である。「新たなる遠野物語の誕生」としてさまざまなメディアで絶賛された前作からさらに拡張する、山で働き、暮らす人々の多様な語りは、自在にしてエキセントリック。「語り遺産」ともいうべき、失われつつある貴重な山人たちの体験に、読む者は震撼しつつ、深い郷愁の念のとらわれる。民衆の記憶を渉猟して築かれた新たな物語の誕生! あるいは、現代と近代の境界を漂う不定形のナラトロジー」そのエッセンスを紹介しよう。


・普段はマンションで快適に暮らし、明るいオフィスで仕事をする現代人たちも、山に入ればたちまち古代人と同じ土俵に立たされる。そこは普段自分たちが生活している日常とはかなり異なっている。静かすぎて耳が勝手に妙な音を拾ってくる世界、暗すぎてその奥の闇をじっと覗き込んでしまう世界。そんな独特の世界では空気の微妙な変化や鼻腔に入るかすかなにおいにも体は敏感に反応する。

闇の中に佇むモノに気がつき体が緊張したり、藪の中を進む姿無きモノに遭遇し思わず目を向ける。かと思えば今まで歩いていたはずの道が突然消え失せて森に孤立したり、信じられないくらい立派な建築物に迷い込んだりする。誰もが平等に無防備な山の中では、少なからずこのような山怪に遭遇するのだ。

山怪経験の程度は実にさまざまである。とてつもなく恐ろしい目に遭う人がいるかと思えば、何とも長閑な時を過ごす人もいる。人それぞれの体質やバックボーンの違いが体験の差となって現れるかもしれない。


・「霊感が強くなってよく見えるみたい。家でもね、トイレのドア開けたらそこの兵隊さんが立ってたんで慌ててドア閉めたって。誰かは分からないけど、きっとお婆ちゃんの関係者だと思うよ。その人、家の中をよく歩き回っているらしいから」


・「その人は次の年に一人で山さ行ってな、いつもの場所で山菜を摂り始めたんだと。しばらく採っていると、後ろの方で何かガサガサ」と音が聞こえてきてよ」何だろうと振り向くと、昨年亡くなったはずの相棒が自分と同じように山菜を採っていた。ああ、今年も一緒に山に入ってくれたと少し嬉しくなったそうである。


「25歳までに何も見なければもう見るとはない。25歳までに見ていればその人は何度でも見る」何を見るのかといえば、もちろん幽霊のことである。これは案外正しいのかもしれない。ということは私が幽霊に出会う可能性はもう無い訳で、安心して山へ入れそうだ。


・道迷いはかならずしもそれらしい場所で起こるとは限らない。天気が良くても複数でいても疲れていなくても、迷う時は迷うのだ。そして誰もが不思議に感じる。なぜあんな所で迷ったのかと。このような場合、東北ではほとんど狐のせいですべて片付くのであるが、どうやら奥多摩には悪さをする狐や狸がいないらしい。


「神様の宿る木はすぐに分かるんだ。ああ、これは切っちゃなんねえなあって。知り合いに言われたよ。ああいうのは天狗が休む木だから気をつけないと駄目なんだって」


・「よくみんなは巨木や大木に手を当てたり体をつけたりするじゃないですか、力を貰うって言って。私はあれが駄目なんです。逆に吸い取られるように感じるんです。だから木には触りません。触る時は指先でちょんちょんって突いて確かめるんです。それで大丈夫だと思ったら触りますね」


・「山は生き物だから拒まれる人もいるよねえ。いつも入っている山でもね、時々急に道が分からなくなることがあるけど、それは山がからかってるんだよね、多分。お前最近調子に乗ってんじゃねーかって」


「あんた、あそこの道なんかよう毎日走るね。私なんか怖おうとあんな所よう通らんけえ。何人もおるよ、あそこは。道の脇に何人も立っとるけえねえ」


ワタシも新潟の実家の上の山に入るとなにか吸い込まれるカンジに遭遇したことが多数ある。山って何かあるんだね。超オススメです。(・∀・)


 


(山怪 続編) 山怪 弐 山人が語る不思議な話 続編