サンカと三角寛(みすみかん) 消えた漂泊民をめぐる謎 (平凡社新書)
幻の漂泊民、サンカ。昭和30年代に消滅したという。そして第一人者である作家の三角寛。その謎に迫る。そのエッセンスを紹介しよう。
・サンカとは何か。それは実像なのか、虚像なのか、幻像なのか。これらの問いに正しく答えられる人物は、おそらく一人しかいない。山窩小説家、サンカ研究家として知られた三角寛である。三角は昭和初期にサンカに注目し、その存在を世に知らしめた。その後、サンカに関する情報を「独占」した彼は、昭和三〇年代にサンカの消滅を見届け、その歴史の終結を宣言した。これまでに語られたサンカ論の系譜を丹念にたどりながら、消えた漂泊民サンカ、そして三角寛という人物をめぐる謎に迫る。
・山窩小説家時代の彼は。刑事等から「山窩」に関する真偽不明の情報をもらい、それを荒唐無稽な山窩小説に仕立てていた。「山窩」はいわば、メシの種であった。その後、一時「ひとのみち」の熱心な信徒となったが、その後、二・二六事件(1936)と同じ年に「ひとのみち」教祖・強姦猥褻罪逮捕事件が起こり、「ひとのみち」解体と同じ年(1937)に日中戦争が始まった。いよいよ戦時体制が確立していゆくわけだが、そうした中、1938年以降、三角が選択した道は(あるいは、担わされた役割は)現実の「サンカ」の現状を把握しながら、それに対し社会政策的に(戦時政策的に)アプローチしていくというものではないだろうか。
「説教強盗事件とは」「ひとのみち」など。限りなくフィクションのような気がするなあ……。この本と併せて読んでね。オススメです。
「三角寛サンカ選集 サンカ社会の研究」(三角寛)
http://d.hatena.ne.jp/lp6ac4/20130828