「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「さいごの色街 飛田」(井上理津子)

  


さいごの色街 飛田 (新潮文庫)


二十年前、知り合いから「大阪にすごいところがある、でも危ないからタクシーで通りすぎてみてみよう」と行ったのが飛田新地。あー、驚いた!!!まだこんな場所が日本に存在していたのだという事実に驚いた!のを今でも覚えている。


さて、この本。「おにいちゃん、遊んでいってや」客引きのおばちゃんの手招きで、男が一人、また一人と店に上がる。大阪に今なお存在する「色街」飛田。経営者、働く女たち、客、警察、ヤクザらの生の声に耳を傾け、「中」へと入り込んだ著者が見たものは、人間の性むき出しの街で懸命に生きる人々の姿だった。十二年にわたる取材により、一筋縄ではいかないこの街を活写したルポルタージュの傑作。 そのエッセンスを紹介しましょう。


・3年位前から、飛田へ行く頻度がふえてきています。ストレスがたまっている時とか、残業続きでよく働いたなあと自分にご褒美をあげたい時、二、三ヶ月に一度くらいのペースになっていますね。最近は。会社には不倫をしている人もいるし、不倫が奥さんにばれて家に帰りにくいという人もいます。そういうのは最低だと思う。家庭は大事にしないと。僕みたいに、家庭は家庭と割りきって飛田に行く方が健全だと思うんです……。


飛田の周りに風呂屋が多いの、なんでか知ってます?女の子に嫌われたくないから、店に行く前に風呂屋で体を洗ってから行くの。それから終わった後もまた風呂屋に行くの、なんか気持ち悪いから。不特定多数の男とヤッた女の子とヤッたわけだから。風呂屋には同じようなおっさん、いっぱいいましたよ。どこの店がどうやったこうやったと見ず知らずのスケベなおっさん同士しゃべって風呂屋が情報交換の場になってるの。滑稽でしょ。アホでしょ。



飛田の店は「料亭」である。曳き手おばさんの言う「にいちゃん、遊んで行ってや」の「遊び」とは、料亭の中で、ホステスさんとお茶やビールを飲むこと。お客が案内される部屋はホステスさんの個室。その中で、偶然にも「ホステス」さんとお客が「恋愛」に陥る。恋愛は個人の自由。恋愛がセックスに発展することもあるが、それは決して売春ではない。だから、支払う料金も、女性の体を買ったために発生する料金ではなく、ビールやジュースや菓子の料金である……と、今、表向きにはそういうシステムなのだ。


得体のしれないエネルギーを感じるなあ。オススメです。(・∀・)


  


さいごの色街 飛田 (新潮文庫)