ドイツの文豪ゲーテ、といえば若いころ「若きウェルテルの悩み」を読んだだけで詳しいことは知らない。「若き飢えるテルの悩み」……なんちゃって…!?(・∀・)
我が母校・明治大学教授の齋藤孝センセイは30歳を過ぎてゲーテの良さに気づいたのだという。悩みの解決にはゲーテである。そのエッセンスを紹介しよう。
・ゲーテは、私が知りうるかぎり、人類最高レベルの資質を持った人間である。稀代のベストセラー作家でありながら、詩人でもあり、いっぽうで古代からの芸術にも造詣が深かった。脚本を書くだけではなく、演出もし、自ら劇場の設計もした。それに加えて、科学者として最先端の研究をし、政治家としても忙殺され、国王の相談相手でもあった。一つの分野だけでも超一流なのに、何役も同時並行して極めた。生涯、情熱的な戀愛を重ねながら、82歳で没するまで現役として活動し続けた。
・まさにゲーテは、一人の人間が生まれて死ぬまでの間にどれだけ自己を豊かにさせることができるかという点において、限界に近いレベルまで達した人物であった。過剰なエネルギーを発散し、それを昇華し、なおかつバランスを持った社会人として生きたゲーテは、精神的人間としての一つの到達点である。
・ゲーテを座右に置く。それは親しくゲーテと対話することだ。自分の立ち位置がわからなくなったとき、何か壁に突き当たったとき、本書を開いてほしい。何かのヒントがきっと見つかるはずだ。
・「結局、最も偉大な技術とは、自分を限定し、他から隔離するものをいうのだ」
・「どの詩の下にも、いつ作ったかという日付を書いておくことだね。そうしておけば、それがまた同時に君の心の状態の日記として役立つことになる。これは馬鹿にならないことなのだ。私は何年も前からそうしてきているから、その重要さがよくわかっているのだ」
・「人間が自分に与えることのできるもっともおどろくべき教養は、他の人たちは自分のことなど求めてはいない、という確信である」
・「私の常として、すべてを静かに胸にしまって、完成させるまで誰にも知らせない」
・「趣味というものは、中級品ではなく、最も優秀なものに接することによってのみつくられるからなのだ。だから、最高の作品しか君には見せない」
・「人はただ自分の愛する人からだけ学ぶものだ」
・「シェークスピアは、あまりにも豊かで、あまりにも強烈だ。創造をしたいと思う人は、彼の作品を年に一つだけ読むにとどめた方がいい」
・「性に合わない人たちとつきあってこそ、うまくやって行くために自制しなければならないし、それを通して、われわれの心の中にあるいろいろちがった側面が刺激されて、発展し完成するのであって、やがて、誰とぶつかってもびくともしないようになるわけだ」
・「ある種の欠点は、その人間にとって不可欠である。古くからの友人がある種の癖をやめたと聞けば、不愉快になることだろう」
・「経験を積むとなると、先立つものは金だよ。私がとばす洒落の一つ一つにも、財布いっぱいの金貨がかかっているのだ」
73歳のゲーテが18歳の少女に一目惚れしたときの「マリーエンバート悲歌」のエピソードがいい。
ゲーテの言葉を解説する齋藤孝センセイのコメントがわかりやすい。オススメです。(・∀・)