「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「ウルトラQの精神史」(小野俊太郎)


ウルトラQの精神史 (フィギュール彩)


子どもの頃、夢中になった円谷プロの空想特撮シリーズの第1弾として1966年にテレビ放映された伝説的ドラマ「ウルトラQ。私は、再放送で見たんだけど、あのモノクロのオドロオドロしさと、オープニングは今でも心に焼き付いている。


さて、本書はウルトラQ全28話を分析し、その意味を問い直す作品論。子供向け怪獣番組の枠にとどまらず、高度成長期にあった当時の日本の社会問題も反映させた骨太のSF世界だったことを浮き彫りにしている。そのエッセンスを紹介しよう。


・1966年に放映されたウルトラシリーズ」の起源ともいえる「ウルトラQ。各エピソードの中心となるのは、SF作家でパイロットの主人公万城目淳、その助手の戸川一平、そして新聞記者の江戸川由利子。この三人組に、知恵袋となる一の谷博士という組み合わせが、怪奇現象や怪獣出現の事態に対処していくのだ。彼らは警察や軍隊ではないし、化学兵器や必殺技も持たないので、実力行使によって解決はできない。セスナやヘリコプターに乗り、怪事件や怪獣に翻弄され、ときにはケガを追う被害にあったりもする。


・それにしても、番組を観た誰もが強く印象に留めたのが、冒頭のタイトル部分ではないだろうか。マーブル模様のような混沌が、左右から中央へと渦を巻いて回転するとウルトラQという白抜きの文字が浮かび上がる。そのときに「ギイッ」といった擬音や現代音楽風の音楽を伴っていて、別の世界へと未知の扉が開く感覚をもたらしたのだ。秩序へと向かうタイトルのイメージこそが「ウルトラQ」全体を貫く主題ともなっている。


日常に入り込んだアンバランスな世界が意味するものとは?なぜ日本に怪獣たちはやって来たのか?人はなぜ見慣れぬ怪獣に変貌したのか?1966年放映の物語が描いた、戦後社会を破壊するものの正体とは?実に深い一冊。またウルトラQを観たくなりました。オススメです。(・∀・)



ウルトラQの精神史 (フィギュール彩)