「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「不道徳教育講座」(三島由紀夫)

およそ50年前に書かれた三島由紀夫の本。(・∀・)井原西鶴『本朝二十不孝』にならって書いたユーモラスな逆説的道徳のすすめ。


【大いにウソをつくべし】【弱い者をいじめるべし】【痴漢を歓迎すべし】など、今読んでも古さを感じないのはさすが!そのエッセンスを紹介しよう。


【大いにウソをつくべし】


正直すぎると死ぬことさえある終戦後の食糧難時代に、ヤミ食糧を絶対に食べないという主義を押しとおして、とうとう栄養失調で死んだ検事がありましたが、あんまり人の同情を呼ばなかったのは「正直」という考えと「死」とが直結するような例を見せられて、みんな気分が悪くなったからです。


ウソには、面白い、罪のないウソと、憎むべきウソとがある。ウソが本来はどれほど無邪気なものであったかは、子供を実験していると自然にこれを認めることが出来ると思う。ウソをつき得る小児は感受性の比較的鋭い、しかも余裕があって外に働きかけるだけの活力をもった者に限るらしいから、一つの学級でも一人有ったり無かったりするほどに稀である。私の小学生のころも「家の庭には子供用の汽車が走っていて、庭の中に停車場まであるんだ」と、みえんぼうの大ウソをついていた友だちは、かなりの秀才でした。


ためしにひとつウソをついてごらんなさい。ウソはウソを生み、うっかり間に本当のことを言ってしまったら辻褄が合わなくなる。その辻褄を合わすには自分の言ったことすべてについての強い記憶力が要るので、なかなかバカにはウソはつけません。


よく結婚サギというのがあって、結婚するためにはウソをつくのならまだしも、結婚式まであげてお金をもってドロンなどという奴もいるこういうのはよほどマメな人で、ウソをつくには、頭脳と神経の浪費を要し、大変はエネルギーが要るので、めんどくさがりやにはウソはつけません。世の中には、めんどうくさいので正直になっていて、めんどうくさいので、その結果、損ばかりしている人も多い。ですから、頭脳鍛錬法として、ウソはなかなか有効である。


すべてのウソは独創性である。他人からぬきん出て、独自の自分をつくり出す技術である。本当にウソをつくには、お体裁を捨て、体当たりで人生にぶつからねばならず、つまり一種の桁外れの正直者でなければならないようです。


この本を読むことが「頭脳鍛錬法」になるかも!?オススメです。(・∀・)