「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「ショージ君の旅行かばん」(東海林さだお自選)


東海林さだおのマンガとエッセイが好きだ。文体とリズムと着眼点。そうだよ、そうだよ!思わずナットクしてしまう。

さて、この本はショージ君の旅行に関するエッセイ集、しかも自選集。これがまたケッサクなのだ。そのエッセンスを紹介しよう。


【鵜飼見ながら長良川


旅行と聞いてまず想起するのが缶ビールである。缶ビールと駅弁である。
この二つが、ぼくの場合のすべてであるといっていい。
出発の駅のホームで、とにもかくにも缶ビールと駅弁を確保する。確保したものをヒザにかかえ、とにもかくにも、ガッタンと列車が動き出すのを待つ。
缶ビールと駅弁をヒザにかかえ、ジリジリしながら列車が動き出すのを待つ間が、わが旅行の醍醐味なのである。
発車のベルが鳴りやみ、列車が動き出すと、それっとばかりに、弁当のヒモをもどかしくほどく。もどかしくハシを割る。もどかしくおかずを一口パクリと口に入れる。


それからうんと冷えた缶ビールを、もどかしく、プシっと開け、もどかしく口中に放りこむ。ゴックン。更にゴックン、ゴックン。
おかずをチョビチョビと口に運び、もう一度ゴックン。ゴックンゴックングビグビ。
ここで少し平静に戻り、平静におかず及びゴハンを食べ、平静にビールを飲み終わると、
急にツキモノが落ちたようになり、純正の平静に戻り、これにて今回の旅行は終了という気分になり、「あとはどこなと勝手に行け」という気分になってしまう。
出発と同時に終了の気分になってしまうのである。
あとは全部付け足しなのである。
それならば、次の停車駅で降りて家に帰ってしまえばよいではないか、と人はいうかもしれないが、そうはいかないところがつらい
出発のあとの苦難の長い行程があるからこそ、出発のビールがうまいのである。


その他、「ゴージャス海外旅行」「日本全国グルメ巡り」「乗り物大好き」「ハトヤ大研究」「現代貧乏旅行」など。


小樽の北杜夫激怒店「I」、胡桃沢耕史激怒店「K」の寿司屋、行ってみたいなあ。オススメです。(・∀・)