「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「アンパンの丸かじり 34」(東海林さだお)

朝日新聞連載の「あれも食いたいこれも食いたい」は大好きなエッセイである。それをまとめた「丸かじりシリーズ」の第34弾、いつもながら、東海林さだおは、こういう文章を書かせたら天才的なのだ。(・∀・) 中でも、最も可笑しかった文章を紹介しよう。


【日本国鍋物法】


四人で鍋を囲むことになった。
鍋物には暗黙のルールがある。まず量の問題。
食べ終わったとき、自分は全体の量の1/4以下を食べた、という自覚があれば合格。
1/3いったかな、と思う人はあとの三人に疎まれれるようになる。
根本にあるのは平等の思想で、かつ互譲の精神、かつ良識と配慮、かつ自制と許容の心構えである。
鍋物はKYの人が一人でもいると成り立たないばかりかめちゃめちゃになる食べ方である。


鍋物の最大の特徴は、鍋の中にある全ての物は全員の共有物である、という点にある。鍋の中のエビならばエビ、蛤なら蛤、常に誰の所有物でもないし所有権もない。人物Aが、共有物の一つである蛤なら蛤に自分の箸を近づけていってそれをはさんだ瞬間、人物Aのものになる。所有権が発生する。これは別に鍋物法という法律があるわけではないが、我が国では法律同然のルールになっている


鍋物は、その水面下に於いて所有権の放棄、移動、移譲がめまぐるしく行われていて、とうてい我が国の民法などでは律しきれない複雑な世界となっているのである。現状ではこのシステムはこのまま通用している。しかし世界がグローバル化しているなかで、日本の鍋物法はこれでいいのだろうか。


そろそろ鍋が美味しい季節だねえ。食べるたびにこれを思い出しそうだ。抱腹絶倒の東海林ワールド、オススメです。(・∀・)