「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

BOOK〜空海が日本思想理解の原点…『空海と日本思想』(篠原資明)

空海と日本思想 (岩波新書)

空海と日本思想 (岩波新書)

日本が誇る宗教家、真言宗の開祖、弘法大師こと空海。この本も売れたよね。


BOOK〜人生を切りひらく言葉…『空海 人生の言葉』(川辺秀美)
http://d.hatena.ne.jp/lp6ac4/20110220


西洋において、プラトンの哲学が後世に大きな影響を与え続けているが、日本においてそのような存在はいるのだろうか?
実は空海しかいないのだ。

空海について思索を重ねてきた著者は、空海思想の基本概念である「風雅・成仏・政治」を日本思想理解のための基本的な視点(基本系)と捉え、さまざまな事 例を通して論ずる。斬新で刺激的な日本思想論。そのエッセンスを紹介しよう。


・まず、プラトン哲学に見いだされる基本形は、美とイデアと政治とからなる基本形である。プラトンの著作を読むとわかるのは、美がイデア世界への最良の導きとされていることだ。そしてこのイデア世界に通じた者こそが、国を統治しうる、すなわち最良の政治を行いうると考えられている。プラトン哲学の基本形の意味を簡単に述べれば、そのようなことになるだろうか。


・では日本の場合は、どうなるのだろうか。美と政治とが、より高いところ、あるいはより深いところへと基礎づけられつつ、関連づけられるような基本形が存在するのだろうか。そう問いかけたとき、空海その人が浮上してきたのである。いやむしろ、空海以外に、これといって思いあたる人物がいなかったというべきだろうか。


空海の人並みはずれた行動の軌跡をたどるとき、ある種の指針めいたものが浮かび上がってくる。それは「四恩に報いる」ということだ。四恩とは、父母の恩、国王の恩、衆生の恩、三宝すなわち仏法僧の四つをいう。


空海思想のもっとも哲学的な部分のひとつは、六大体大説であろう。非情から仏にいたるような存在も、地・水・火・風・空・識の六大からなるという主張だ。この説に裏打ちされてこそ、自然を友とするという風雅のありようは、いわば切実で切迫したものとなる。極端な場合には、『三教指帰』の序にしるされるような、星が口中に入る体験ともなるのだ。


どのような存在も、宇宙の過去を抱懐した現在なのだと。どのような存在も、宇宙の原初以来の「かつて」の先端に立つ。「いま」とは、その「かつて」を包む心なのだ。識すなわち心は梵字の吽で表される。それにあやかっていうならば、「かつて」と吽を吞み込む「いま」、それこそが心なのだ。未来というものがあるとすれば、この心の広がりにしか存在しない。


やっぱり仏教って奥が深い。オススメです。