「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「無量寿経」(阿満利麿 注解)


無量寿経 (ちくま学芸文庫)


この本はスゴイ……あまりの壮大なストーリーに感動!2週間かけてじっくりと終わることが惜しいくらい噛み締めながら読みました…。


阿弥陀仏の名を称えるだけで、だれでも浄土(安楽)に生まれることができる──法然親鸞がその解釈に骨身を砕き、長く日本人に親しまれてきた浄土仏教の最重要経典。煩悩に縛られ、悪行をやめられぬまま、混迷を極めた世の中を生きるごく普通の人々。そうした凡夫を救うために四十八の誓願をたてた法蔵菩薩は、想像を絶する修行を経て阿弥陀仏となり、誓願のすべてを実現する。この阿弥陀仏の物語を、釈迦はいまだ悟りに到達できない阿難に向けて説く。全文の漢 訳と読み下し、さらに懇切丁寧に施された解説により、万人のための宗教というその核心が鮮やかに立ち現れる」そのエッセンスを紹介しよう。


なぜ、今、「無量寿経」なのか。そこには悪世のまっただ中を生き抜く「よりどころ」を与えてくれる、いわば希望の物語が説かれているからだ。それゆえにその「悪世」を生き抜くために「よりどころ」として説かれる教えにも説得力が増しているからなのである。


無量寿経(康僧鎧役・仏説無量寿経)は上・下二部からなっている。上巻は、阿弥陀仏の誕生の経緯と阿弥陀仏がつくりあげた国(浄土)の内容が記されており、下巻は、その阿弥陀仏の国にどのようにすれば生まれることができるのか、が説かれている。


・古代中国人は仏教に出逢ったとき、その教理に驚くというより、それに付随してきた「三世」「六道輪廻」に驚いたという。なぜならそれまでの中国人は、人は死ねばそれでおしまい、としか考えていなかったからだ。だから、古代中国人は、仏教を「因果の宗教」として受け取ったともいう。「因果」という言葉は、仏教がもたらした新しい言葉なのである。


・常識では、ものごとの流れは、原因と結果の連鎖(因・果)として理解される。しかし、仏教では、ものごとが生まれるためには直接的な原因のほかに、その原因を結果に向けて発動させる間接的な原因が不可欠だと考える。その間接的な原因が「縁」にほかならない。つまり、ものごとが生じるためには「因」だけでは不十分であり、その「因」に「縁」がはたらいてはじめて「果」が生じると考える。


・のちの第十八願の説明で明らかになるが、南無阿弥陀仏」と口で称えることが「安楽」に生まれる唯一の方法である、ということであり、名が「往生の因」だと述べている点が大事なのである。


・(法然上人)「阿弥陀仏は宝蔵菩薩であった昔、きわめて長い時間をかけて、夜となく昼となく心を砕いて、「三心(至誠心・信心・回向発願心)」を成就された。その意図は無知な人間でも、およそ「三心」という言葉も知らない人間であっても、念仏すれば自然に「三心」が具えることができるようにというところにある。(七箇条起請文『和語灯録』巻第二)「三心」は法蔵菩薩がその修行の中で獲得して、一切衆生に与えているのだから、私たちは安心して、念仏だけをひたすら称せばよい、と教えたのである。


仏教入門の第一は、教えを素直に受け入れることだが、その素直さを「心身柔軟」という。そして、法然がもっとも嫌ったのが学者ぶった高慢さだが、その反対が「心身柔軟」であり、法然はそれを「一文不知」といった。


ゴータマ・ブッダは、空腹に苦しむものには、教えはとかなかったという。そこには、釈尊の話を聞く余裕がないからだ。つまり、人が求道心を起こすには、一定の経済的条件が整っていることが不可欠なのである。


・(釈尊)「私は今、もろもろの衆生のために、この経典の教えを説き、阿弥陀仏とその国土の一切を見せた。それゆえに、なすべきことを、みな求めよ。私が悟りの世界に入った後にも、仏の智慧を疑ってはならない。来るべき、末法万年の後の夜に、仏教の教えが滅ぶことになっても、私は慈悲をもって汝らを哀れに思い、この経典だけを百年間、留め置くであろう。人がこの経典に出逢うときには、心の願うところにしたがって、みな、悟りの世界に入るであろう


・(釈尊)「仏の出現に遭うことは、めったにないことであり、見奉ることもむつかしい。諸仏の教えは、得難く聞き難い。菩薩の優れた教えを聞くことも、難しい。よき師匠に出遭って教えを聞き、その教えを実践することもまた、難しい。ましてや、この経典を聞いて、信楽し受持することは、難中の難である。この困難よりも困難なことはない。この故に、私はこのように説き、このように教えたのである。まさに、教えの通りに修行せよ


わかりやすく現代語訳で読めてよかった。何度も何度も繰り返したい本。超オススメです。(・∀・)



無量寿経 (ちくま学芸文庫)