- 作者: 松平定知
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2011/08/01
- メディア: 新書
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言葉を自在に操る達人〜山根基世、藤原正彦、姜尚中、鴨下信一、半藤一利、檀ふみ、ジョン・カビラ、佐高信、落合恵子、田辺聖子の各氏との、日本語に関してのこだわりや上手に使うノウハウの対談集がこの本なのだ。
コミュニケーションは、言葉で出来ている。言葉の達人たちと語った豊かな日本語の世界とは?そのエッセンスを紹介しよう。
・言葉に対する思いは退職後も、年々、滾(たぎ)ってきている。私は言葉に対して、いまや、頑固一徹の小言幸兵衛になりつつある。しかし、そのこと自体を私は「自戒」していない。
・女性アナウンサーが、「“我が国”の鉱工業生産は…」とやっている。この子は普段、自分のことを「我が輩」と言っているのだろう。この場合、「“日本”の鉱工業生産は…」と言い換えて、何の不都合もないのだから。
・また、今年、二頭のパンダが来た時、「パンダは長旅の疲れも見せず…」という古色蒼然とした懐かしいフレーズを聞いた。僕、『君、パンダに聞いたの?』って聞いたことがあるんです。(笑) そのパターン表現は、断固、キャンペーンは、断固、やめようよと話したのである。
・これだけではない。菜の花や蓮華は相変わらず、「絨毯を敷き詰めたように」咲くし、行楽客は、いつでもどこでも必ず「どっと」繰り出すのです。視聴者には次に続く言葉が予測できるから、これでは驚きも感動もない。
(山根基世)音楽番組でゲストを紹介する時、「さん」づけを徹底したのは、玉置宏さん。それが視聴者に、評判がよかった。その後「さん」づけが一般的になったということを聞いたことがあります。一方で、ディスクジョッキーの草分けだった小島正雄さんは番組で紹介する時、生きている人でも故人でも、みんな呼び捨てでした。「番組を聞いてくださる方がお客様であって、登場人物はその素材だ」というポリシーだったとお聞きしています。
・おそば屋さんなどに、「本日は、お休みさせていただきます」という張り紙をしているのを見ると。腹が立ちました。「させていただきます」って、あなたが休むのを、私は許可した覚えはない。(笑)あなたの意志でやることなのだから、「お休みいたします」でしょうって。あらゆることが丁寧になりすぎている。「拝読させていただきました」とかね。二重敬語どころではない。「おみおつけ(御御御付け」じゃないんだから。(笑)
・記者としては大変優秀でもキャスターといしては大成しなかった方も多い。そういう人は聞く人のことをあまり考えずにしゃべっていたのです。自分だけのリズム、拍子でしゃべっていた。それでは伝わらない。キャスターの理解が、視聴者の理解につながらなければ、それは伝わったということにならないからです。「しゃべる間」「聞く間」。つまりリズム、間がいかに大切かということです。
(藤原正彦)メールやインターネットを百万時間したところで、教養は身につきません。身につくのは情報だけ。教養というのは活字文化以外から生まれないんですね。教養がない限り大局観は生まれない。毎日の物事を処理するだけなら論理的な思考のみで十分ですが、指導者には絶対に大局観が必要。国民全てに活字文化を復興させないと日本の将来はないですね。美しい文化のないところからは、天才は生まれない。これが私の持論です。
ホント、そう思うよね。よかった活字中毒で!コミュニケーション能力を磨いていきたいよね(^。^)