この本は、スゴイっ!!!最初の数ページを読んだだけで、もう惹き込まれてページを繰る手が止まらない、やめられない……。この本の文章と登場人物が美しいっ!!!
「百年以上解かれていない難問に人生を捧げる。「写経」のかわりに「写数式」。エレガントな解答が好き。――それはあまりに甘美な世界! 類まれなる頭脳を持った〝知の探究者〟たちは、数学に対して、芸術家のごとく「美」を求め、時に哲学的、時にヘンテコな名言を繰り出す。深遠かつ未知なる領域に踏み入った、知的ロマン溢れるノンフィクション」そのエッセンスを紹介しよう。
「僕は栃木に住んでいまして、 片道二時間半かけて東工大まで通っているんですが、 その電車の中で研究するんですよ。紙に数式なんかをこう、 書いていって……五十枚くらい溜まると、 論文が一つできるわけです。もうかれこれ四十年くらいですか、 そういう生活を続けています」
・「数式に人柄が出るんですよ。 過去の数学者たちの手書きの論文を読むと、『 これも人がやったんだ』とわかると、自分にもできるはずだ、 と元気が出るんです。親しみがわくんですね」
・「数学の本当に難しい問題というのは、 百年くらい解けないことがざらにあるわけなんです。 だから公表するんです。みんなも挑戦してくれ、とう感じで。 数学はある意味で、のんびり考えて楽しむものなんですよ。 難しい問題だと、五年とか十年とかの時間じゃ、 どうしようもないこともある。 だから人生設計なんかと同じで十年くらい回り道してもいいわけで す」
・「(数学っていい趣味ですね)うん。鉛筆と紙、 紙をある程度置ける空間だけあればできますからねえ」
「数学はお金がかかる学問です。実は旅費がかかるんです。 どこかに行くでもよし、来てもらうもでもよし、 いろんな人に頻繁に会うということが数学ではとても大事なんです 。他にも気分転換に散歩したり、美術館に行ったり、動物園、 公園。あるいはビールを飲みに行ったり……。 数学で一番重要なことは、問題と一緒に生活することなんです。 二十四時間、ずっと問題について考え続ける場合もあるし、 頭の片隅に置いておいて、 信号待ちの時なんかにふっと思い出して、 考え直してみたりもする。 とにかくそばに置いて一緒に生活することなんです」
・千葉逸人(はやと)先生(東北大学教授)「芸術に近いかもしれない」
・「景色というのは山とか太陽、地球が作ったものなので、 数学はその一歩先だと思います。 数学は地球がなくなっても残るものだと思っているんです、僕は。 そういう普遍なもんだと。だから不思議ですよね。 こんな美しいものなのに、 なんか紙に書いたら出てくるわけですけれど」
・「大学で学会があるとするじゃないですか。 いっぱい学者はいるわけだけど、 ああこの人は数学会に来た人だなとわかる。歩き方とか、 バッグのかけ方とか。目的地に行くぞ、 という風情が背中に出ているんです。自分はこういう目的で、 この角を曲がって、こっち行って、大学に入るんだとか。 一つ一つオーラが出ているというか、明確なんです」
・「数学という学問では、頭の中に実験室があるんです。 他の学問と比べても、内側への意識が強い。 自分の中に向かわざるを得ない。人付き合いが悪い、 と言われても致し方ないところがあるんですよね。 だから時々変わった人がいます。
・「数学という学問は、 誠実という言葉が非常い当てはまる学問だと思います。 インチキは絶対できないから。誠実になれない人はたぶん、 数学者には向いていない。 だから数学者は変わった人も多いけれど、基本的に誠実です」
・「とにかく一切、人に会いたくないという人はいますね。 自分の時間を邪魔されたくないんですよ、困った人ですよね。 何にもやりませんって言うんですよ。」
・「授業を忘れているんです。あまりに集中しすぎて、 その時間に来ないんですよね。 授業の前に考え事を初めたらもうダメ。その世界に入っちゃって、 出てこられない。」
・「黒川先生、どうしてご自分の部屋に毎回鍵をかけるんですか? 」「リーマン予想の証明、盗まれたくないもので」
こういう本に出会えるから読書はたまらない!!!今年のベスト10入り、間違いなし。超オススメです。(^^)