いや〜すごい。この本は、壮絶だあ……。映画『硫黄島からの手紙』を観たけど、もういちど観たくなったな〜!映像よりリアルなのは、取材力と文章の力だなあ……。
「硫黄島で米軍を最も怖れさせた指揮官は、家族に手紙を送り続けた父でもあった—。
絶海の孤島・硫黄島で、総指揮官は何を思い、いかに戦ったのか……。妻子を気遣う41通の手紙。死にゆく将兵を「散るぞ悲しき」とうたった帝国軍人らしからぬ辞世。玉砕という美学を拒み、最期まで部下と行動を共にした指揮官のぎりぎりの胸中に迫る。
いま、日本人を考えるための必読書。圧倒的評価を受けた、大宅壮一ノンフィクション賞受賞作」そのエッセンスを紹介しよう。
絶海の孤島・硫黄島で、総指揮官は何を思い、いかに戦ったのか……。妻子を気遣う41通の手紙。死にゆく将兵を「散るぞ悲しき」とうたった帝国軍人らしからぬ辞世。玉砕という美学を拒み、最期まで部下と行動を共にした指揮官のぎりぎりの胸中に迫る。
いま、日本人を考えるための必読書。圧倒的評価を受けた、大宅壮一ノンフィクション賞受賞作」そのエッセンスを紹介しよう。
・ 米軍の中でも命知らずの荒くれ揃いで知られる海兵隊の兵士たちを して「史上最悪の戦闘」「地獄の中の地獄」 と震えあがらせた凄惨な戦場。東京から南へ1250キロ、 故郷から遠く離れた孤島で死んでいった男たちの戦いぶりを伝えん と、みずからも死を目前とした指揮官は、 障害最後の言葉を連ねたのだった。硫黄島は、 はじめから絶望的な戦場であった。
・彼我の戦力の差を見れば、万にひとつも勝ち目はない。 硫黄島の日本軍にはもはや飛行機も戦艦もなく、海上・ 航空戦力はゼロに等しかった。陸上戦力においても、 日本軍約2万に対し、上陸してきた米軍は約6万。 しかも後方には10万ともいわれる支援部隊がいた。 日本軍の玉砕は自明のことであり、 少しでも長く持ちこたえて米軍の本土侵攻を遅らせることが、 たったひとつの使命だった。
・「うちの閣下のことを好きな方なら、 私にとって家族と同じです」
・栗林の最後の文章を、なぜ変える必要があったのか。「 散るぞ悲しき」が、新聞では「散るぞ口惜し」 と変えられているのである。
・貞岡(信喜)は、栗林の訣別電報を「お経のようなもの」 と言った。この電報は、死んでいった、 あるいはこれから死んでいこうとする兵士たちへの鎮魂の賦だった のである。だからこそ、 栗林の部下として死ねなかった貞岡にとって、 これを唱えることは、 栗林に代わって彼の二万の部下たちを弔う行為だった。 それが貞岡の言う「お経」の意味であったのだ。 このとき私はまだ知らなかった。死んでゆく兵士たちを「悲しき」 とうたうことが、指揮官にとってどれだけタブーであったのかを。 エリート軍人たる栗林が、 いたずらに将兵を死地に追いやった軍中枢部への、 ぎりぎりの抗議といもいうべきこの歌を詠むまでに、 どのような戦場の日々があったのかを。
・「水は湧水は全くなく雨水を溜めて使います」「 不毛の原野で穴居生活をしている訳で、 考えようによっては地獄の生活」
・硫黄島は、太平洋戦争においてアメリカが攻勢に転じた後、米軍の損害が日本軍の損害を上回った唯一の戦場である。 敗北する防御側が、 攻撃側にここまで大きなダメージを与えたのは稀有なことであり、 米軍兵隊は史上最大の苦戦を強いられた。
・栗林が選んだ方法は、ゲリラ戦であった。 地下に潜んで敵を待ち、奇襲攻撃を仕掛ける。 どんなことをしてでも生き延びて、一人でも多くの敵を倒す。 それを実行するためには強靭な精神力が要る。「敢闘の誓」は、 その精神力をやしない覚悟をうながすためのものだった。
・死ぬとわかっている自分の命。 死なせるとわかっている兵士たちの命。 それをいかに有効に使い切るかという計算を、 栗林はやってのけたのである。すべては、 内地で暮らす普通の人々の命をひとつでも多く救うためだった。
・ジェイムズ・ブラッドリーは栗林を「あの戦争において、 冷静に現実を直視し、 それゆえ楽観的立場に立たなかった数少ない日本の指揮官」 と評した。
・最高指揮官とは、 自分の判断ひとつで兵士たちを死に追いやる者のことでもある。 それは人間としてあまりにも重たい行為である。だから、 そうした立場に身を置く高位の軍人は、 何とかしてその重さと折り合いをつけようとする。 では何をもって自分の役割と折り合いをつけていたのか。 無惨な死を兵士たちに強いざるを得なかった栗林は、 だからこそ硫黄島での日々を、 つねに兵士たちとともにあろうとした。そのことはまず、 安全で水も食べ物も豊富だった父島から指揮をとることを拒否して 硫黄島に赴き、 最後までただの一度も島から出なかったところにあらわれている。
・島での栗林は、毎日隅々まで歩いて陣地構築を視察し、 率先して節水に努め、みずから畑を作った。 自宅からの差入れを断り、三度の食事は兵士と同じものを食べた。 兵士たちの苦しみの近くにあることを、 みずからに課していたのである。
日本人必読だね……。日本人の魂とは何なのか、伝わってくるね。超オススメです。(・∀・)♪