「にくいあんちくしょう　異端カリスマ列伝」（本橋信宏） - 「てるてるソング」小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ！』日記

全作品読破を狙っている本橋信宏氏。グッとくる本が多いよねー！♪Good！！！（笑）

この本も、いいよお！怪しい人、満載だよー！♪

「怪しいTVディレクター、元祖ルポライター、伝説の劇画作者、哲学的AV監督、臓器密売人、元赤軍派議長…いかがわしくもしぶとい異端のカリスマ達に時に憧れ、時に共感し、彼らの断面を見事な角度で描き出すノンフィクション」そのエッセンスを紹介しよう。

【テリー伊藤】

・「学生のころってさあ、誰でも日曜の夜って嫌なもんだよね。おれも本当にいやだったもん、明日からまた学校かって。だから何かテレビを観て元気が出るようなもの作りたかった」

・早朝バズーカって、あれはたまたま東スポ読んでたら、早朝ソープってのがあったのね。早朝っていえばさわやかなイメージがあるじゃん。カフェオレにフランスパンっていうさ。それがソープだろ、おかしいじゃない、だから早朝にも最も似つかわしくないものはないかっていっくつか考えた結果バズーカが出てきた。ミスマッチってあるじゃない、大福の中にイチゴ入れちゃうような、ぜんぜん結びつかないものをくっつけちゃうていうおもしろさだよね。それがまたオリジナルになるし」

「人生、疑ってかかれ」という言葉があるように「人生、笑ってかかれ」という態度が真理を照らす有効な方法であり、その効果をもっとも知っているのがあのテレビディレクターなのではないか。

【村西とおる】

・さあ、ここであなたのラブリーなシーンです。そうですはいカメラを見て。いいですねえ、ああなんてゴージャスなんだろう、すばらしいすばらしすぎます、そうですよお　ハイもっと声をだしてそうですいいよ。合格です合格すぎます！

彼の伝説は粉飾しようがないほど発生の段階からスケールが大きいものだった。

●裏本の帝王時代、キャッシュで印刷工場を買い取った

●初代タイガーマスクの本をだすために著作権者の梶原一騎の目の前で『巨人の星』を高らかに歌い拍手をもらった。

●殺人罪で人生の大半を刑務所ですごしてきた鉄砲玉に「さすがのおれもあの人の迫力には負ける」といわしめた。

●借金の取り立てにやってきた暴力金融屋を相手にした村西監督が得意の話芸で険悪な雰囲気を一転爆笑の場と変え、さらに追加融資の話をまとめてしまった。

●売れないAV監督時代、デンマークロケで大型リムジンバスを乗りつけ、路地裏まで突撃撮影してコペンハーゲン市民の度肝を抜いた。

長嶋伝説の大半が事実なようにここにあげた村西伝説もすべて事実であり、いまも彼を知る男たちの間では「おれはもっとすごいこと知ってる」「いや、おれのほうが」と伝説をいいあうのだ。

・ハワイ旅行の金が欲しい女子大生やローン返済にこまっている地方出身のOLといった娘たちを相手に、村西監督が「ナイスです！」を連発。「あなたが脱がなかったら天安門に春はやって来ません！」といった論法で彼女たちをその気にさせて本番ファックを承諾させてしまうのだ。

【北公次】

初めてステージでバック転を見せてくれたアイドルがフォーリーブスの北公次だった。歌って踊れるというアイドルがまだ確立されていなかった1960年後半、彼のバック転は神業ですらあった。1978年解散後、歌手と役者の道を歩みだすが覚せい剤使用で逮捕されるというアクシデントに見舞われ芸能界から抹消されてしまった。その元アイドルが十年後突然浮上することになることの発端は村西とおるだった。

村西はジャニーズ事務所マル秘情報探偵局を開設。『はーい！ジャニーズ事務所マル秘情報探偵局です。ジャニーズ事務所に関するナイスな情報を募集中なんです。どんなことでもいいからきみの知ってるジャニーズアイドルたちのナイスな情報をこの電話に吹き込んでくれるかな。勇気をだしてこの電話に向かって話してみよう。さあ、レッツゴー！』留守番電話の応答メッセージの声は村西とおるみずから吹き込んだものだった。

そのひとつが元フォーリーブスの北公次の居場所を教えるものだった。ジャニーズ事務所社長、ジャニー喜多川のお稚児さん趣味は芸能界では有名な話だったが、元所属アイドルからの告白はまだ表に出てこなかった。ならば北公次の口から直接語ってもらうのが手っ取り早い。『北公次を捜せ！』

合宿生活という名目で社長と同棲生活をしていた三年あまりの関係を中心に波乱の半生記をまとめた本『光ＧＥＮＪＩへ』（1988年、データハウス）は、しばらくして世の中に出てたちまちベストセラーとなっていった。

【佐藤太治氏の経歴は「ビデオ安売り王」】

会長という言葉にはどこか黒幕的ないかがわしさがぷんぷん漂っているものだが、この人物もまた会長という言葉がよく似合う。そういえば村西とおるも裏本の帝王時代には会長と呼ばれていたし、サラ金残酷取り立て王の杉山治夫もまた会長と呼ばれている。

「会長」と呼ばれる男たちの条件

・女好きである

・営業から押し上がってきた

・学歴はたいしたことはない

・貧しい家庭に育った

・人を笑わせるのが好きだ

・部下を怒鳴り散らすときには腕力をふるう

・「おれの経験によれば」が口癖だ。