「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「ゴリラ裁判の日」(須藤古都離)

いや〜!いいなあ。この本、オモシロイなあ!新人のデビュー作とは思えない、表現力と構成力っ!!!これ!実に考えさせられるっ!!!

 

カメルーンで生まれたニシローランドゴリラ、名前はローズ。メス、というよりも女性といった方がいいだろう。ローズは人間に匹敵する知能を持ち、言葉を理解する。手話を使って人間と「会話」もできる。動物園で出会ったゴリラと愛を育み、夫婦の関係にもなる。順風満帆のはずだった――。その夫が、檻に侵入した4歳の人間の子どもを助けるためにという理由で、銃で殺されてしまう。なぜ?どうして麻酔銃を使わなかったの?人間の命を救うために、ゴリラは殺してもいいの?だめだ、どうしても許せない! ローズは、夫のために、自分のために、正義のために、人間に対して、裁判で闘いを挑む! アメリカで激しい議論をまきおこした「ハランベ事件」をモチーフとして生み出された感動巨編。第64回メフィスト賞満場一致の受賞作」そのエッセンスを紹介しよう。

 

・「単純な命の選択の話です。人間と動物、どちらの命を選択するか、それだけのモンダイではないでしょうか。そのままにしていたら、男の子の命が危なかったんです。動物園はゴリラの命と引き換えに男の子の命を救いました。私はその選択は間違っていないと思います」
 
私が勝つに決まっている。負けるはずがない。夫は銃殺されたのだ。殺した側に非がないとは言わせない。そんな不条理が許されるだろうか?
 
私はゴリラなのに、人間のように考え、人間のように行動する。今まではそれが嬉しかった。私は特別な存在で、幸せだった。だが、私が普通のゴリラではないからこそ、こんな苦しみを味わうことになった。他のゴリラや野生動物が決して知ることのない、屈辱と挫折。つい一年半ほど前まではジャングルで幸せに暮らしていたのに。全てが突然目まぐるしく変わってしまった。どうしてこんなことになってしまったのだろう?全てはあの日に始まったのだ。
 
・「正義は人間が独占しているだと?人をバカにするのもいい加減にしろ。君は正義というものを全く理解していない。そもそも、完璧な正義なんてものは現実には存在しないんだよ。僕たち人間が不完全な存在だからな。人間は粗暴で矛盾を抱えた。利己的な存在なんだよ。だが、僕たちはそれで満足していたわけじゃない。何千年もの歴史をかけて憲法や法律を作り、司法制度を練り上げてきたんだ。完璧な正義を達成するためじゃない。より良い社会を築くため、正義に少しでも近づくためだ。その過程でどれだけの犠牲があったと思う?どれだけの苦労があったと思う?」
 
・「公平な社会を築くために人間が努力している間、ゴリラは何をしていた?少しでも手伝ってくれたか?君みたいなよそ者に、司法制度を侮辱する資格はあるのか?」
 
・「そう、人間と動物の違いは複雑な言語体系を持つか否かです。ということは、もう皆さんお気づきでしょう。ローズは人間の言葉をそのまま理解し、完璧なコミュニケーションが可能です。ローズは複雑な言語体系を学ぶことができた。要するに、クリーガー博士によればローズはただの動物ではなく、人間なのです。人間が言葉を使えないからといって、我々から人権が奪われることはありません。ゴリラも同じように扱われるべきです」
 
・これは動物の問題などではありません。人間の自由と尊厳の問題なのです。オマリが殺されたのはオマリが子供をかんたんに殺せる力を持っていたから、それだけの理由です。それは例えば人が銃を持っているのと同じことではありませんか。人を殺す力を持っている、それだけの理由で人を殺して良いはずがありません
 
・「私は何者なのか、ずっと悩んで生きてきましたが、今回、はっきりとわかりました。私はゴリラであり、同時に人間でもあるのです。
 
たとえ私が貧しくとも、私は人間である。
たとえ私が折に閉じ込められていても、私は人間である。
たとえ私が未熟でも、私は人間である。
たとえ私が間違いを犯しても、私は人間である。
たとえ私がゴリラでも、私は人間である。
 
・「なんか、自然の一部になった、って感じがするよ。そう、ジャングルに入ったら、みんな自然の一部。同じお母さんのお腹の中にいる姉妹みたいに、今の私たちの間には何もない。でも街のなかでは人は孤独。だから、私はここに戻ってきた」

 

これ、売れるよー!100万部くらい行くんじゃないかな。大型新人、登場!超オススメです。(・∀・)