「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「カプセル 新潟少女監禁事件 密室の3364日」(松田美智子)

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社会人になって一番最初に入社した会社が建設資材の会社。そこで26歳で当時最年少で所長になり32歳のとき、そして外資系保険会社にヘッドハントされるまで9年2ヶ月。人生のベースというともいうべき基礎の部分を過ごした9年2ヶ月。長かった……実に長かった……。
 
その長い9年2ヶ月を監禁された少女、という衝撃的な事件があったよね。 「ずっと、彼女と一緒にいたかった」新潟少女監禁事件の事件発覚の経緯から、佐藤宣行被告の裁判での肉声、判決までを追う」そのエッセンスを紹介しよう。
 
・佐藤被告は昭和37年7月、柏崎市内で生まれた。父親は62歳、母親は36歳、父親は再婚で、両親の年齢差は26歳ある。このことが、のちに彼を卑屈にさせる大きな要素となった。小学校四、五年生の頃、「おまえのお父さんは年寄りだ。名前も古くさい」同級生にからかわれ、彼はひどく傷ついた。父兄参観日に出席した父親たちは、当時72、3歳だった彼の父親より、30歳以上年下がほとんどだった。なんであんな年寄りと結婚したんだ!」とことあるごとに母親を責めるよになった。さらに、不潔恐怖症の症状が現れる。
 
・地元の中学校に進学した頃、不潔恐怖症の症状が顕著になった。最初に自宅のトイレが使えなくなり、続いて両親に、風呂を使わないよう強要した自分一人が湯船を独占したかったからだという。強迫性障害は、本人にとってはとても苦しいもので、ときには人に暴力をふるってしまうこともあるほど、イライラするものだという。小学生高学年の頃から父親を新聞で丸めたもので叩くという暴力を繰り返していた。父は自宅を出て母子の二人暮らしになっても彼のすさんだ言動は続いた。「二階には絶対に上がってくるな!」母に命令し、部屋の掃除をすることも許さなかった。中学一年の頃からトイレで排泄できなくなった。学校では校舎の裏手でしていた大のときは、家まで我慢して帰って、風呂場でしていた。
 
自分以外のものはすべて汚いと感じているような彼に、どうして少女を誘拐監禁することができたのだろうか。「欲望が勝っていたからです。その場合は人にも物にも触ることができる。車は好きだったでしょうね。車内は自分だけの空間で、嫌なものに触らなくてもいいから」
 
・「被告人は被害者を拉致したあと、二、三ヶ月は両手両足を緊縛し、一年が過ぎた頃、被害者が逃げないことを確認して緊縛をやめた。監禁の一、二年後からはスタンガンを押し当てるようになった。平成七年頃には食事をコンビニの弁当一個に制限しため、被害者の体重は38キロにまで減少した着替えは数ヶ月に一度で、衣服がボロボロになるまで着替えを許さなかった。凄惨は監禁が9年2ヶ月という長期間行われ、被害者が受けた精神的苦痛は筆舌に尽くしがたく、想像を絶するものがある。被害者は解放、保護直後、まともに歩くことすら出来ず、診察の結果、治療期間不明の両下肢筋力低下、骨量低下、鉄欠乏性貧血などの傷害を負ったことが明らかになった。その回復には長期間の専門的治療とリハビリを要するもので、傷害の結果は極めて重大である。
 
・見落とすことができないのは、被害者は思春期や青春時代という人格を形成する上で極めて重要な時期を被告人に奪われ、その結果、義務教育やその後の高等教育の機会はおろか、親権者による保護、教育の機会すら、すべて失ってしまったという点である。この重要な成長期を奪わえたことは、回復しえない人生経験の欠落というべきものであり、本件が今後の被害者の人生に与える影響は、計り知れないものがある。
 
・実父は検察官に対し、『被告人に対しては、できるならば重りをつけて日本海に沈めてやりたいが、せめて娘の心の傷が治るまでは、刑務所から出てこられないようにしてほしい』と供述。母親もまた『母親としての楽しみをすべて奪われたことなど、言いたいことはたくさんありますが、悪いとか、そういう感情は浮かんできません。そのような感情を抱くこと自体、もったいないくらいの気持ち』などの証言し、被害者と同様、厳罰を望んでいる。こうした感情は、被告人の量刑を決する上で、最大限考慮されるべきである。

 

「事実は小説より奇なり」こんなことが実際にあるなんて、信じられない……読み進むにつれて気分が悪くなる……メンタルが病んでいる人が増えたのはこの頃からなのかもしれない。事実として知っておいてほしいね。オススメです。

 

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