「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「歌謡曲ー時代を彩った歌たち」(高護)

 


歌謡曲――時代を彩った歌たち (岩波新書)


「歌謡曲ということばを聞かなくなって久しい。
若い頃、あれほど音楽を聴いていたワタシも平成になってからめっきり音楽を聞かなくなったなあ。(・∀・)


さてこの本。「日本に生まれたポピュラー音楽「歌謡曲」。それは誰が、どのように作り、どう歌われたものだったのか。時代を象徴するヒット曲を手がかりに、作詞家、作曲家、編曲家、歌手の各側面から、その魅力の源泉に迫る。制作の背景、楽曲・歌唱の音楽的分析、作品の与えた影響など、初めて書かれる本格的ディスコグラフィ」そのエッセンスを紹介しよう。


謡曲は誕生からまだ100年を経たない近代文化でもあるが、文学と音楽が融合された交配文化と捉えられる。また詩作の手法も作曲法も歌唱も編曲も演奏も、それぞれの部分で様々に和洋混交され無定形に異種交配された複合文化であることが大きな特徴といえる。本書は


1 その発展の歴史と特性についての時代ごとの考察
2 個々の作品情報の記述および楽曲としての構成要素の紹介と分析
3 それに伴う歌手、作詞家、作曲家、編曲家の役割と個々の特徴および他に与えた影響


具体的には1960年から1980年代までの約30年間を10年単位で区切り、各年代をジャンル、傾向別に分類した。



「君といつまでも」の作曲を加山雄三自身が手がけていたことは大きな驚きで、後のニューミュージックの始祖のひとりとして記憶される。66年の新春に『エレキの若大将』をみた日本中の若者は加山雄三になることを目指した石原裕次郎のアクションやドラムはもちろん最高にカッコよかったが、加山雄三はスポーツ万能でエレキ・ギターという最強の楽器を自由自在に弾きこなしながら、今までの歌謡曲では聴いたことのないような自作のポップスを歌っていた


「黒い花びら」(水原弘は、日本ジャズ史上最高の人気を誇ったビッグ・フォアのピアニスト中村八大の作曲。「明日までに10曲を作らなければならなくなった。困っていたら部偶然に日劇の前で永六輔とバッタリ出会ったので作詞を頼んで二人で一晩で10曲を作った」と伝えられるエピソードから制作された作品である。


・作曲家筒美京平の特徴は3点。


1 先進性 2 独創性 3 大衆性


つまり、新しいセンスとオリジナリティとそこから生まれたヒット曲ということになる。筒美京平は歌謡曲史上最も偉大なヒット・メーカーとして記憶されるが、その真価は「良質」で「高水準」の作品を「量産」し「長期間」にわたる


・「生涯助っ人」を任じ「無償の愛」を説く川内康範の作品は一貫して人間の極限ともいえる心理をテーマにしている。それは必然的に「命」に関わることが多く誰よりも君を愛す」「骨まで愛して」「君こそわが命」も、ポップス系の作詞の流れとはまったくの別物ともいえる情念の世界である。「歌謡詞」の技術的な作詞法とは無縁であり、ひたすら人間の本質に迫った作風は他に類がなく、まさに孤高の存在である。


・72年にデビューした郷ひろみは、それ以前の男性歌手にはないアイドル性を全面に押し出すことで、聴き手を同世代の女性に特化させた。同じく72年にデビューした麻丘めぐみは歌詞そのもので聴き手を限定させた点において画期的だった。73年1月の第三作「女の子なんだもん」の “ 何も欲しくはないわ あの人がいるだけで 女の子なんだもん おねだりはひとつ 愛してほしい ” はそれ以前には存在しなかった歌詞世界である。「女の子なんだもん」の斬新さは聴き手を完全に「個」として捉えているところで、従来の自己の個をテーマにした作詞法とは完全に逆転の発想である。つまり麻丘めぐみは自己を歌うのではなく、ひたすら「聴き手=あなた」を対象に歌うのである。聴き手はもちろん同世代の男性である。


「フォーク」と総称されたジャンルは「フォーク/ロック」と表記されるようになり、70年代半ばにはニューミュージックとして落ち着くことになる。72年はまさに黎明期で夜明け前だった。よしだたくろうの「結婚しようよ」が72年1月、7月のアルバム『元気です』は14週連続チャートの一位を独走。翌年にブレイクする井上陽水も7月に「傘がない」とデビュー・アルバム『断絶』を5月に発表している。チューリップも6月に「魔法の黄色い靴」でデビュー。キャロルが12月に「ルイジアンナ」でデビュー。たくろう、陽水はフォーク、チューリップ、キャロルはロックの範疇に入るが音楽的にはどれもかなり異なる。自作自演。テレビに出ず深夜のラジオやライブ活動が中心でシングル盤が中心の歌謡曲に対してアルバム志向を全面に打ち出していった。


その他、「戦前・戦後の歌謡曲」「和製ポップスへの道」「歌謡曲全盛時代」「阿久悠の時代」「変貌進化する歌謡曲」「シティ・ポップスの確立」「90年代の萌芽ーダンス・ビート歌謡」など。


読みながらまさにワタシ「酒場のギター弾き」の原点を見るようだ。やっぱり昭和の歌は名曲が多いね。超オススメです。(・∀・)♪


 


歌謡曲――時代を彩った歌たち (岩波新書)