「酒場のギター弾き」であるワタシはアコースティック・ギターの音にこだわりがある。その結果、歴代30台ものギターを買い続けてるのだが。(笑)
ハギレがよく、シャリーン!と鈴の鳴るような音。そしてどこまでも続くサスティーン!ボリューム、バランス、重さ、弾きやすさ……などなど。いろいろとこだわりがあるのだ。♪
さてこの本はオモシロイよー!ギターに通ずるなあ!「僕はロケット博士じゃない。天才ヒコーキ屋・糸川英夫は半世紀前から、密かに一挺のバイオリンをつくりつづけていた。最先端理論と方程式を駆使した工法が、従来の常識をくつがえす。ロケットも「逆転の発想」も、すべてこの楽器開発の副産物だった」そのエッセンスを紹介しよう。
・熊谷千尋「いいバイオリンがほしいんです、先生。でも、 弦楽器は、ひとつずつ手でつくる。名器となるととても高い。 自分たちのような貧乏学生はとても手がとどかない。 先生はエンジニアだから、 それだけの頭脳でバイオリンを設計したら、 100円ぐらいの材料で、 1億円ぐらいの音が出るバイオリンができるんじゃないでしょうか 。先生ならばつくることができるはずです。 あの戦闘機をつくるぐらいの技術があれば、 200年前のストラディバリウスとかアマティとか、 イタリアのバイオリンの職工さんがつくったものより、 性能のいいものが当然できるのではないですか」
(……はじめに音響学を勉強して、 現代物理学のすべてを総動員して、 ようするにいいバイオリンの音というのはどういう波形のものか調 べて、その同じ波の形が出てくるものをつくればいいのだ。 だから振動論を応用すれば、理論的には可能だ……だいいち、 200年も300年もまえの職人さんがつくったものに、 この20世紀半ばの現代科学がいまだに及ばないというのは、 科学者として屈辱的だ)と考えはじめたのだ。
・楽譜に書かれている音譜をすべて調べた。 曲に使われている各音の頻度と長さの統計を取ってみた。 楽譜を科学的に分析していくことで、 必ず作曲家たちのメッセージを聞くことができると確信していた。 結果が出た。 楽譜上で作曲家たちがもっとも聴衆に聴いてほしい音は、 わずか4つにしぼられていた。A4、E4、D4、 A3の4つである。この4つの音が、 年中耳にはいってくるはずである。 この4つの音がきたなかったり、小さかったりしたら、 作曲家はガックリである。 こんなに弾いてもらいたい音がはっきりしているのだから。
・200年前のバイオリンだけがなぜ高いのか。 僕の仮説はこうである。
バイオリンを形づくっているのは、いうまでもなく木である。 木は生き物であり、時間の推移と環境の変化で日々木の中の「 なにか」が変化する。たとえば、春夏秋冬の気象の中で、 木の中に入っている水分も外へ出るだろうし、 木の中の天然樹脂も変化する。ゆっくりゆっくり、 樹脂は変化をつづける。おそらく樹脂の弾性を中心とする「 なにか」がちょうどよくなるときが、200年後なのではないか。 200年間、たくさんの音楽家の手に渡り、 いろいろな人がいろいろな曲を弾くことによって、 バイオリンに振動がかかる。その振動で木の「なにか」 がいろいろ変化してちょうど、200年ぐらいたつと、 ほどよくなるのではないかー。時間によって「なにか」 が変わることを「エイジング効果」という。 これがバイオリンの場合、決定的にものをいう。 僕は200年を二ヶ月に圧縮する方法を考えた。 超音波によるものである。
・僕らの最終目標。「 E線のハイポジションの2つの高音E4とA4が十分に出るように すること」である。どういう設計にすれば、 バイオリンは失われた2つの音を取り戻すか。 問題を解決する鍵はなにか。僕らは「弱々しく、細い」 音しか出ないE線の常識をくつがえし、「太く、力強い」 音が出るようにすべく、挑戦をするのである。
・「E線の音が、よく出るね。 世の中のヒコーキ屋とロケット屋が全員バイオリン屋になってしま えば、世界中が平和になる」
『音響インピーダンス法』かあ……このやり方なら、良いギターを格安で作れるよなー!音楽ファン必読!オススメです!♪