「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「洞窟おじさん」(加村一馬)

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洞窟オジさん (小学館文庫)

洞窟オジさん (小学館文庫)

 

先日何気なく見ていたテレビ朝日「激レアさんを連れてきた。」で衝撃的な内容のことを放送していた。

 

人生のほとんどを洞窟で過ごした男の物語。加村一馬、昭和21年8月31日生まれ。群馬県大間々町(現:さくら市)出身。68才。昭和35年、当時13才だった少年は「両親から逃げたくて」愛犬シロを連れて家出した。以来、彼はたったひとりで誰にも知られることなく、足尾鉱山の洞窟、富士の樹海などの山野で暮らし、イノシシやシカ、ヘビにネズミ、コウモリ、野ウサギなどを食らい命をつないできた。発見された時、少年は57才になっていた--そして社会復帰」小野田寛郎さんや横井庄一さんのような人が日本に存在したのだ!「事実は小説より奇なり」そのサバイバル人生を紹介しよう。



洞窟生活は、ある食べ物を見つけると、同じ物ばかり食べ続ける日が続く。あれが食べたい、これが食べたいなんて、言ってはいられないんだ。シロとふたり、生きるための食べ物を探すだけで必死だった。だけど、草もろくに生えていない岩山の足尾銅山で食べるものを手に入れるのは本当に大変だったよ。2〜3日、何も食べないなんて、ザラだったからね。探しに出ても何も見つけられないことはしょっちゅうだ。


洞窟は、おれにとって最高の “家 ”だった。夏は涼しく、冬は暖かい。寒ければ木の枝や枯れ木を燃やせばいい。そうすれば、洞窟の中の水滴が蒸気になって風呂みたいに暖かくなる。これは本当に気持ちよかった。風呂にはずっと入らなかったけど、それもまったく気にならなかった。まあ、ひとりだから臭くても誰にも迷惑かけないからな。


・生活に欠かせない鉈とナイフは、家から持ってきた砥石で毎日手入れをしていた。でも家出した頃は刃渡り20cmもあったナイフが、この頃はわずか数cmにまでちびていた


・ほら穴を少し下りていくと、農家がたくさんあった。畑を見つけると、たまにおじさんやおばさんに声をかけられる。大根、キャベツ……いろんなものがあった。農家の人に「1個ください」と頼んでみると、断られたことはなかった。勝手に持っていけば泥棒だけど、おれはそんなことはしなかった。頼めば必ず分けてくれるからだ。みんないい人だった。


おれは、世の中に疎いから、社会で生きるってことがどういうことなのか。何が必要で、何が不要なのかの判断がすぐにはできない。物を知らないというのは悲しいことだと最近つくづく思った。



・世の中、新しくて便利なものが増えている。「このままでいいのだろうか……」という疑問が頭にぽっこりと浮かぶんだ。そのたびに原点の、洞窟時代の数年間の生活を振り返ってみるんだ。洞窟には、明かりなんてなかった。朝日が昇って目を覚まし、太陽が沈めば眠る。食料を得るために野山を駆け巡った。自ら獲った魚や肉を焼くときは、火を起こし、熾をつくり、味付けも塩としょうゆぐらいしかなく、寝床も草むらだった。おれはそれでも幸せだったし、不便とも思わなかった。文明社会はすごいと思うのだが、日々「これでいいのか、このままでいいのか」という思いは忘れないように心掛けているつもりだ。


「初めてのカレーとバナナ」「初めてのストリップと初体験」「兄との再会」「釣り名人(一日500匹)」「時計の読み方も自分の名前も書けなかった」「56歳の初恋」「留置場の中」「社会復帰」「ブルーベリー畑」など。

 

すごいねえ。人間って。便利になるのと幸せなのとは比例しないんだね。超オススメです。(・∀・)!

 

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洞窟オジさん (小学館文庫)

洞窟オジさん (小学館文庫)