「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「跡を消す 特殊清掃専門会社 デッドモーニング」(前川ほまれ)

 


跡を消す: 特殊清掃専門会社デッドモーニング


この本はハマった!オモシロイ!今年のベスト10入り間違いないね。あらためて「死」とはなんぞや?を考えた……。


孤立死や自殺など、わけありの死に方をした人たちの部屋を片付ける、特殊清掃専門の会社「デッドモーニング」。生きることの意味を真摯なまなざしで描き出す感動作!」そのエッセンスを紹介しよう。


・葬儀の後に塩をかけるのは、死を穢れたものとして捉えて、塩で清めるって考えから来ているんだから。死は穢れたものじゃないしね。どんな人間にもいずれは訪れる、当たり前の現象だから。


・ウチは特殊清掃専門の会社なんだ。だから普通の清掃とは少し違う。亡くなった方々の生活していた場所を清掃するんだ。遺品整理することもある。主に孤立死や自殺、時には殺人事件があった場所を清掃することもあるかな。普通にモップで床を拭いて、窓を綺麗に磨くような清掃とは違うんだ。発見が遅れた場合は、腐敗臭が漂っていることも多いし、体液が染み付いた箇所も清掃しなければいけない。死体はないよ。警察がとっくに回収している。残っているのは、その人の影だけさ。この部屋に残っている跡を完全に消すことが、僕の仕事だからね。


僕にはこの人がどんな人生を歩んできたかなんて分からない。でも、この人が最後に残した生活の跡と、その死だけは憶えておくことができる。


死んだら、何も残んないよ。思念みたいなものはね。残るとしても身体だけ。それも腐っていずれ消えていく。死んだ人間は成長することもなければ、新しいエピソードを作ることもない。停止したままだ。ずっと。死んだ人間に唯一出会える場所があるとしたら、過去だけだ


・何があったのはわからないが、自分で死を選ぶなんて贅沢すぎる。生きたくても死んでしまう人間が大勢いるのに、贅沢すぎる


遺品を捨てるのは、一種の自己防衛なんだ。必死に悲しみの回路を遮断しようとしているように、僕には見えるけどね。悲しみを麻痺させないと生きていけない人もいるのさ。電気のスイッチを消すようにね。


・突拍子のない話ですが、太陽が死んで朝が来なくたって、暗い夜の底で生きていけばいいんです。夜の闇は余計なものを塗りつぶしてくれます。悲しみを抱きしめるには、そんな場所が必要なんです。


・最近変なんですよ、俺。誰かが生活していた部屋で作業していると、ふとした瞬間に。その人の声が聞こえるような気がするんです。生前会ったことも、話したこともないのに。特殊清掃とか遺品整理のしすぎで、超能力でも身についちゃったのかな。耳を澄ませるだけじゃ、聞こえない声ってあるような気がするんですよね。。


・私はね、この仕事を始めてから一度もゴミを運んでるなんて思ったことがないの。誰かのたった一つしかない生活の欠片を運んでいるんだって思っている。そう思わなきゃなんか虚しくない?


・陽子がいなくなって、一つわかったことがあるの。よく涙が涸れるとか言うじゃない。でも、そんなこと全然ないの。あれほど泣いたのに。ふとした時に、今でも急に涙が流れることがあってね。涙って涸れることはないんだって知った。


・僕は心底思うよ。この死は間違っている。この死は心中なんかじゃない。ただの暴力だ。どんな理由があれ、これは理不尽な殺人だ。


・この浴室を見ていると、どうしても死にたかったっていう、母親の情念を感じるよ。死に対してそんな強い気持ちがあるなら、もっと生きることに対してその決意をぶつければ良かったのに……


・残った跡を消しながら、数日でも、せめて数時間でも覚えててあげようよ。この部屋に確かに存在していた誰かの生活を


・俺、特殊清掃をすれば、誰かが残した跡を完璧に消すことができると思っていました。でも違うんですね。残った跡は消すことができます。でも、誰かが生活していた日々を消すことはできません


・結局さ、死はただの『点』でしかないんだ。反対にこの世に誕生した瞬間も『点』でしかない。大事なのはその『点』と『点』を結んだ『線』なんだよ。つまり、生きている瞬間を積み重ねた事実が大切なんだ。


ノンフィクションかな?経験談かな?と思えるほどのリアルさ。死んでいく人にもドラマがいろいろあるんだね。超オススメです。(・∀・)


 


跡を消す: 特殊清掃専門会社デッドモーニング