「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「死体は語る」(上野正彦)

 


死体は語る (文春文庫)


本の名前だけはよく知っていたこの本。初めて読みました。累計60万部のロングセラーになるのがよくわかる!すごい!オモシロイ!惹き込まれる!(・∀・)


あなたにも死者のメッセージが聞こえますか?法医学入門のバイブルとなった大ベストセラー。偽装殺人、他殺を装った自殺、猟奇事件…。どんなに誤魔化そうとしても、もの言わぬ死体は、背後に潜む人間の憎しみや苦悩を雄弁に語りだす。その死者の声を聞き、丹念に検死をし、解剖することによって、なぜ死に至ったかを調べていくのが、監察医の仕事である。浅沼稲次郎刺殺事件、ホテルニュージャパン火災事件、日航機羽田沖墜落事故等の現場に立会い、変死体を扱って三十余年の元監察医が綴る、ミステリアスな事件の数数」そのエッセンスを紹介しよう。


・まず死体がある。なぜ死んだのかを調べていく。やがて一つの死と、それにまつわる様ざなな事情がはっきりしてくる。生きている人の言葉には嘘がある。しかし、もの言わぬ死体は決して嘘を言わない。丹念に検死をし、解剖することによって、なぜ死に至ったかを、死体自らが語ってくれる


「死体を検死したり、解剖して気持ち悪くないですか」とよく質問される。即座に、私は「生きている人の方が恐ろしい」と答えることにしている、生きている人は、痛いとかかゆいとかすぐに文句を言う。そして何よりも死ぬ危険があるので、私にとっては、生きている人を診るよりは死体の方がはるかに気が楽なのである。


死人に口なしというが、死者は目撃者でもある。丹念に死体観察をすることによって、死者は語り出す。事実が明らかになり、犯人像まで浮かび上がってくることもある。考古学者が一つの土器から時代考証をするのと同じである。死者ほど雄弁なものはない


・考えてみると、検死や解剖をしているときは、私は死体を死者とは思っていない。不遜な態度で言うのではなく、臨床医が患者に接するのと同じように、私にとって、死体はまだ生きた人間なのである。丹念に観察することによって、もの言わぬ死体自らが、死亡の状況を語りはじめるからである。病死の場合はまだしも、ときには絞殺されたとか、ひき逃げされたなどと、大変なことを言いだす死体もある


生きているものは、そう簡単に死なない。死ぬには医学的にも、社会的にも相当な理由、原因がある。ましては殺人ともなれば、いかに完全とはいえ、生から死への移行に必ず無理、矛盾が潜んでいる。そこから事件は発覚し、解明されていくものである。


坊さんんがお経をあげたら、硬くなっていた遺体が柔らかくなって成仏でき、ありがたがったという話を聞いたことがある。こんな話を作った人は、社会の手品師ともいうのだろうか。いずれにせよ、このような手品には引っ掛かりたくないものである。


・監察医は臨床医ではない。しかし多くの解剖結果を要約し、死者からの警告として、生きている人に同じ過ちを繰り返さないよう、伝えることも仕事なのである。


・1999年の東京23区内の年間死亡者数は60,556人、そのうち監察医の検死の対象となったのが、17%、さらに行政解剖に付されたものはその中の24.7%だという。決して低い確率ではない。死後にも名医にかかりたいものである。


なかでも「ミカン」「親子鑑定」「モナリザは特にオモシロイ。なによりも著者の人間に対しての強い愛情を節々に感じるのだ。名著です。超オススメです。(・∀・)


 


死体は語る (文春文庫)