「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「日本を決めた政治家の名言・妄言・失言」(土屋繁)


この本はオモシロイ!本書は単に世を騒がせた政治家の発言を列挙したものではない。戦後の政治家の言葉とその影響を整理することで、政治家とは何者か、何者であるべきかを考えよと問うもの。


吉田茂・元首相の「バカヤロー発言」や、ハマコーこと浜田幸一衆院議員の共産党議長“人殺し”発言」など歴史的失言はもちろん「政治家の失言集」!そのエッセンスを紹介しよう。


・作家の丸谷才一政治では「失言」に一番関心があるという。自分が言葉を扱う商売をしていながら、時々うまくゆかなくて困っているから、政治家が言葉を使い損ねるのを見ると、思わず同業者のような気分になってしまうのだそうだ。もっとも、丸谷から見れば、戦後は大した失言がない、小失言ばかりで滑稽感のある失言、昭和の金融恐慌の引き金になったような国運を危うくするような失言もないという。


森喜朗前首相は、「神の国」「寝てしまってくれれば」などの失言連発で、立場、場所をわきまえない口の軽さから、首相としての脂質が問われ、英エコノミスト誌では「記憶にある限り、日本で最悪の首相の一人」と酷評されてしまった。しかし、森善首相に「功」があるとすれば、私たちに政治家にとって言葉とは何かを考えさせる機会を与えてことだ。


森は能弁というより多弁、そしてただしゃべりまくる粗弁なのだ。捕らえ所のない言葉の羅列から一体何を言いたいのか伝わってこない。


・(森善首相)「大阪はたんつぼ」「私は泡沫候補だった。エイズがきたように」「停電が起きたらギャングや殺し屋がやってくる。(米国は)そういう社会だ」「沖縄は教祖や新聞が共産党に支配される」「パソコンができない人は日陰」「(シドニー五輪の女子水泳選手に)プールで見るよりきれいだね」


・森の言行録を追ってみると、一国の指導者の発言が国内は言うまでもなく、国際社会にもどのような反響を及ぼすのかということへの慎重な配慮が欠落していたことに気づく。


・(石原慎太郎)「芸術家であることが政治家としてのプラスの要素になると思う。政治の表現している言葉の嘘がわかるというのかな、知らず知らずのうちに、言葉の没個性化、画一化に他の政治家より敏感でいられるから反省しやすいというはあるかもしれない」


田中角栄の副官房長官を務めた後藤田正晴は、角栄にひかれた要素の一つに「言葉の明瞭さ」を挙げている。「わけのわからない、ぐるぐる回っているような言い方の人は嫌いだね。要するに、いいにしろ悪いにしろ、はっきりしない人は嫌いだ。はっきりして、言ったことに責任を持てと。そういう人でないといやだ」石原も角栄の言葉を評価する一人だ。「自分の言葉でしゃべったね。肉体から出た。あの人の言葉は、いい言葉、魅力ある言葉だった。野卑だしね。下品というは偉大なんです。美空ひばりだって、下品だから偉大だったんで、田中角栄もそういう意味では偉大だった」


その他「政治家の言葉と信頼感」「政治家とウソ」「主権者の国民を忘れた言葉」「戦争責任をめぐる言葉」「歴史を変えた誤訳と失言」「過熱してでるホンネの言葉」など。


…これからも政治家の失言は出続けるんだろうね。オススメです。(・∀・)