「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「涅槃経」を読む ブッダ臨終の説法(田上太秀)



『涅槃経』を読む ブッダ臨終の説法 (講談社学術文庫)


子どものころからの愛読書は手塚治虫先生のブッダ。数えきれないほど繰り返し反復して読んだ。そのたびに、お釈迦様は偉大だ!と感心したものである。(・∀・)


ブッダ』(手塚治虫
http://d.hatena.ne.jp/lp6ac4/20130101


さてこの本。「死に直面したブッダは、自らの得た覚りを弟子たちに開示した。このブッダが最後に残した諸々の教えを、多彩な比喩を随所にちりばめ、明快な問答形式で記したのが『涅槃経』であり、数ある仏教経典のなかでも「仏性思想」を説いてひときわ異彩を放っている。中国・朝鮮・日本等、東アジアの仏教思想に多大な影響を与えた『涅槃経』の精髄を読み解く」そのエッセンスを紹介しよう。


『涅槃経』の経典名は「大いなる死に関する説法集」あるいは「最高解脱に関する説法集」という意味である。死に直面したブッダは種々の教えを説き示した。それらのなかにはこれまでまったく開示しなかった秘密の教えがあり、それを聞いた菩薩たちは驚きをもって、その真意を解き明かして欲しいと懇願する。菩薩たちに示したその内容が多くの比喩を用いた明快な文章で、それも問答形式で記述されており、読者を魅了すること疑いない。


・仏教の僧侶が葬式のときに死者の煩悩を払うというなら、どうして生きている間に煩悩を払い除ける教化をしなかったのだと言いたい。死んでから成仏させると言うが、そんなに簡単にブッダになれるというなら、葬式を執り行っている僧侶自身はすでに成仏しているのだろうか。修行の身であれば、成仏していないはずである。


死後、死者はどこに行くのでしょうか菩提寺の住職に聞いたことがありますか?と尋ねると、浄土教系の信者からは決まって西方浄土阿弥陀仏の許に往生できるはずですという答えが返ってくるが、他の宗派の信者は「えっ?」と答えにつまってしまうほど、なにも教えられていない。教えられていないというより、教える側の僧侶自身がはっきりとわかっていないので教えていないと言うべきだろう。


・葬式は死者の魂が幸せな再生を遂げるために行うのではないか。行く先も教えずに、ただお経を読む儀式だけに終わってしまう葬式は、死者にも遺族にもなんの安らぎも癒やしも与えない。いったい仏教は生きている者たちの何を教えそして心にどんな安らぎを与えようとしているのかこの疑問に『涅槃経』は答えてくれるだろう。


特に、「多彩な比喩説法を読む」の中の「乳と薬の譬え」「四匹の毒蛇の譬え」「幼児の譬え」「仙陀婆の譬え」「福の神と貧乏神の譬え」などは、実に奥が深い。何度も何度も繰り返し読みたい。超オススメです。(・∀・)




『涅槃経』を読む ブッダ臨終の説法 (講談社学術文庫)