「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「大衆食堂パラダイス!」(遠藤哲夫)

最近、やたらとキレイなファミレスやレストランばかりになったけど、私が好きなのが昭和の香りがプンプン臭うような大衆食堂。おじいちゃん、おばあちゃんがやっているような昔ながらの食堂が大好き。子どもの頃、近所には必ずあったけど、最近は減る一方だという…。淋しいよねえ……。


さて、この本は、日本全国オイシイ大衆食堂ガイドではない。大衆食堂のある生活を楽しむためのガイドであり、日本の近代における食文化の研究本なのだ。そのエッセンスを紹介しよう。


・大衆食堂の味覚やメニューは、古いものを残しながらゆっくりと変化する。一世紀ぐらいのスパンでの消長はめずらしくもない。江戸期の一膳屋時代から続く焼魚や煮物などに、近代の中華風や洋風も加わり、最も広く親しまれたものが生き残ってきた。おれは、近代日本食のスタンダード、つまり近代の普通の日本人が何を食べてきたかの歴史が、大衆食堂に集積されていると見ている。その大衆食堂が、80年代中頃を堺に、数を減らしている。おれのような上京者にとっては、二度目の、そして二重の、ふるさとの喪失である。


大衆食堂は、田舎者の自立心と野性を拭い落とさずに出入りできるところだったのだ。当時は、田舎者は田舎者らしい自立の気概と野性を、ハッキリ持っていた。これこそ田舎者の熱源である。そのギンギラギンとした気流が、食堂で渦を巻いていた。それはもう、マグマの熱風、サウナの蒸気、ションベン湯気のような熱量だった。学生、労働者、職人、アソビニン……地下足袋をはいた、赤旗を持った、ギターを抱えた田舎者が、食堂では野性のままふるまった。気取り、虚飾、いっさい無用。クセークセーいろいろな地方の様々な種類の人間が、体をぶっつけあって、怒鳴り声をあげ、あけすけにめしをくう。


「かめさん食堂」(埼玉県朝霞市)「川崎屋」(江東区亀戸)「天将」(東京都北区)「斎藤酒場」(東京都北区)「スタンド」(京都市四条新京極通り)「丸一食堂」「内田食堂」(神戸市新開地)「成金屋食堂」(大阪市西区)「海岸食堂」(北九州市戸畑区)「押上食堂」「いこい食堂」(墨田区)「大盛食堂」(大阪十三)「かめや食堂」(文京区根津)「北一食堂」(品川区北品川)「やよい食堂」(千葉県野田市)「信濃路」(台東区)「まんなおし食堂」「えだや食堂」「エビス屋昼夜食堂」「赤ちゃん食堂」「丸和前ラーメン」「平民食堂」「安全入船食堂」「玉川食堂」(北九州)「駅前食堂(若松区二島駅前)」「今浪うどん(小倉南区)」「ゆりや食堂」(札幌)「大洋食堂」(八戸市)「神谷バー」(浅草)「たいめいけん」(日本橋)「一ぜんめし」「御休處 揚羽屋」(長野県小諸市)「丸大ホール」(川崎市)「伊勢屋食堂」(埼玉県深谷市)「長野屋食堂」(新宿)「常盤食堂」(笹塚)「阿部食堂」(祖師ヶ谷大蔵)「大衆食堂横丁」(与野)など。


ああ…まだまだ食べてないところがたくさん、あるなあ…。オススメです。(^^)


ザ大衆食
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