落語界の風雲児、立川談志師匠が亡くなって数年。談志師匠関連本が出版されているけど、これは貴重な「まくら」を集めたもの。まくらだけでもオモシロイ、師匠ならではの、師匠でしか言えない笑いが満載。そのエッセンスを紹介しよう。
・(客席の盲人に)今日はね、赤いバンダナなんだ。おまえ。見えないだろうけど(笑)。立川談志といって、一見すると三十四、五歳の、若いんだよ(笑)。
・あの、バラバラにした事件ね。バラバラってのは、バラバラにするのが好きな奴がいるんでーあれ、好きなんですよ。嫌いじゃやらないの。どっか好きなんです。嫌いなら他の方法で殺る。沈めちゃうとかね、燃しちゃうたね。あれバラバラ好きなんだよ。いるじゃない、子供だって、時計バラバラにしたりなんかするの、あれと同じようなんだよ。問題はね、あれで捕まらないと思っているのが、凄いよな。あれで逃げ切れると思ってんのかね。あるいは、バレると思わねえのかね。その発想が凄いねえ。あの子供を殺しちゃった親も子供に「すまないと思う。悪いと思った」なんて、コメントしてるけど、「悪かった」って「よかった」と言うよりはいいのかも知れねえけれど。
・医者なんぞ、「酒をやめなさい」と言う。よく言うね。「酒とナニナニをやめなさい」なんて。医者でも何でもねえ。ただのアドバイザーじゃねえか、そんなもの(笑)。大体、酒をやめるなんて奴は、意志の弱い奴がやることですからね、こんなものは(爆笑・拍手)
・香港で中華料理屋に入ったらね、いい店なんでね、「北京ダックもって来い」って言ったら、「ねえよー、無い」。「フカヒレのスープもって来い」って言ったら。「ねえよ。無い」っていうんだな。他のものは有るけど、この二品は無いっていうんだよ。何だこの店、うん、「鴨なしフカもなし」(可も無し不可も無し)ってね。(爆笑・拍手)
・よくテレビなんぞで「年をとっても美しくなる」なんて、よく言うよ。年とって。美しくなるわけがねえや(笑)小朝みたいに(テレビで)「百歳でおめでとう」なんて言ってる馬鹿があるか(笑)。「百になったら、死ね」ってのが、落語家の了見なんですよ、うん。あとはもう、自殺しかねえな。おれ、ガス管なんか、銜えたりしないからね。おれの自殺は、ダイナマイト持って、客席飛び込んじゃうから(笑)。木っ端微塵にしてな、もうそろそろこのホールも、壊しどきじゃねえの(爆笑・拍手)。
・おならには、ブー、スー、ピーの三種類あり。ブーは音高くして。臭い低し。スーは、音低くして、臭い高し。ピーは、身の出る恐れあり(拍手)。
・「バスのあと駆けて学校から帰ってきたから、200円儲かっちゃった」「タクシーのあと駆けてくれば680円儲かったのに」(笑)。
・「隅田川で、水練の達人を見たよ」「どんなの?」「動かないんだよ、顔をつけたまま、流れるがように、ずう―っと、海へ向かっていったけど、あれは名人だねえ」「土左衛門じゃねえのかい?」「名前までは訊かなかった」(笑)。
・「君はナポレオンだそうですね?」「ええ、もちろん、ナポレオンです」「ナポレオンですか?」「ナポレオンです!」「誰が決めたんですか?」「神ですよ」隣に居た奴が「いつ、おれが、そんなこと言った?」(爆笑・拍手)
・「先生、その眼鏡は何ですか」「ああ、この眼鏡はね、これは、あのー、診断をするときの眼鏡なんです。これはその診断書を書くときの眼鏡ですよ。これはちょっと書物を読むときの眼鏡なんですね。これはレントゲンのときの眼鏡なんです」「そっちは何ですか?」「それを見分ける眼鏡なんですよ」(笑)
・ゾウが裸の男を見てね、「よくあんなもんで息が出来るな」
・「竹やー、さおだけー」「金玉のねえやつが来るぞー」
いいなあ。これだけの個性的な落語家はしばらく出ないだろうなあ。オススメです。(^_^)