「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「努力とは馬鹿に恵えた夢である」(立川談志)

落語、立川流の家元・立川談志師匠。落語最後の名人は、名文家でもあった。人生と芸、そして〈東京言葉〉と〈人生の師〉と〈いい女〉等についての遺されたエッセイを集成。そのエッセンスを紹介しよう。


・人生とは、恥ずかしいことなんだ。恥ずかしいことを書かなくて、人生を書けるはずがない。


談志(わたし)にとって「漫画」とは、手塚治虫のことなので、他の人の作品はほとんど見ない、読まないのである。それも何とデビューの『新寶島』からなのだから手塚治虫が誕生して、亡くなるまで、「漫画」といやぁ手塚先生一本槍だ。神様に対して、とやかく云う奴あ「罰当たり」ということなので、手塚先生(かみさま)に、出来も不出来もあるものか。手塚先生の作品はすべて正しく、全て優雅(やさ)しく、深い人生の意味を持っている


・オイ、“雨ふり小僧”よ、お前、どうしてる、何処にいる、手塚先生が亡くなったのをお前は知ってるネ……きっと何処かで見送ったネ。雨と涙が一緒ンなってたネ。その顔をあの破れた傘で隠してたネ。先生が死んぢゃったから、もう雨降ふり小僧、お前とは逢えないのだネ……。モウ太と同じように……。


・何と十時入りだという。で、八時出発、朝に八時があるとは知らなかった。


・奥様のノリコさん、ゼンゼン掃除をしない。「何でしないの?」って訊いたら「掃除は日本中のゴミをどっかに寄せてるだけだから」だって。


・電車は好きなんだが、庶民に出会う。この庶民の横暴さには腹が立っててねえ。こっちが捕まらない「庶民の殺し方」、何かないものかなと思って。いや本気だよ。ギャーギャー言う子供に注意はしないとか、人前で堂々と口紅を塗るとか。ああいう女見ると思うね、今にこいつらタンポンも替え始めるんじゃないか、電車の中でポーンと。ポーンと音がするのかネ、やったことないからわからないけど(笑)。


・俺の落語の場合、まあ三点ですよ。ひとつは、どうにもならない貧困とかね、人間が生きるギリギリの世界を演る。「黄金餅」や「富久」みたいな、ああいう落語な。それからもうひとつは、社会なら社会、常識なら常識という「出来上がっているルール矛盾を突くもの」。ルールは所詮つくったものですから、どこかに無理がある。その無理を“よし”としてきたけれども、文明もここまで来ると、はたして“よかったかどうかわからないじゃないか”という矛盾ですよね。三つ目は「イリュージョン」。人間個々が持っている、説明不可能なワケがわからない部分、これをどう出すか。この三つをやることで、人間はいったいどういうものか、その回答を俺は出そうとしてます。出てくる答えは間違っているかもしれないが、回答を出そうという行為を、俺は高座でやっている。


談志師匠が、手塚治虫を神様のように思っているなんて知らなかった…!しかも私の大好きな「雨降り小僧」の話題が出るなんてオドロキ!オススメです。(・∀・)