「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「雨ン中の、らくだ」(立川志らく)


落語が好きだ。私の好きな落語家は、昭和の爆笑王・初代林家三平、そして古今亭志ん生。(・∀・)


志らくは俺と同じ価値観を持っている」。師匠はあの日、そう公言してくれた。身が引き締まる思いがした。大学在学中に、高田文夫氏の導きにより、立川談志のもとを訪れた。ドジを繰り返して怒られた入門当時。若い女性たちに追っかけられた、謎のアイドル時代。師の到達点を仰ぎ見つつ、全身落語家として精進 を重ねる、現在。十八の噺に重ねあわせて描く、師匠談志と落語への熱き恋文。そのエッセンスを紹介しよう。


・円蔵師匠が「上手いのは志ん朝で、談志兄さんは達者」と語っていますが、志ん朝が名人、談志は達人……?それも違う気がする。談志こそ、狂人ではないでしょうか。落語の狂人、立川談志。ということで、弟子である志らくはこの本を書くにあたってその道を引き継ぐべく「狂人宣言」をしたのでございます。これは全十八章からなる志らくの談志論」です。


・自分が落研でやってきうた落語はまがいもので、プロになるにはこのメロディとリズムを吸収しないといけないのだと思いました。メロディとは演者の個性。歌謡曲でいうところのひばり節であり、三橋美智也節です。落語の名人は例外なくこのメロディを持っています。メロディのない人、薄い人は人気が出ません。聴いていても魅力に乏しく、もう一度その人の噺を聴こうと思えないからです。リズム、これは落語そのものにある流れのようなもの。落語は何べん聴いても飽きないというのは、このリズムが心地よいからかもしれません。


「修行とは矛盾に耐えることだ」名言です。


センスを磨くにはどうしたらいいか。それを磨くには、師匠の好きなものを片っ端から好きになるのが一番の近道ではないか。それで、師匠の好きな映画、好きな歌謡曲を吸収していったのです。兄弟弟子の中には志らくは師匠のヨイショのために古い歌を覚えたのだ」と陰口を叩く人がいますが、違います。ヨイショではなく、師匠の好きなものを好きになろうとした結果、その世界に魅了されてしまったのです。


・席亭に向かって、師匠は私を紹介してくれたのです。
「こいつは弟子で志らくといってな、五年後にはこの世界で小さな天下を獲るぞ」
すると席亭が訊きました。
「大きな天下は誰が獲るんですか?」
「それは俺だよ」
「もう獲っているじゃないですか」


・談志の凄さの一つに、その土地の水に芸を合わせないところがあります。普通、芸人は合わせます。しかし談志は、常日頃自分がやっている落語をぶつけていきます。相手がまったく落語になじみなないような田舎の人でも、これが談志だという落語をするのです。だから地方公演に出かけてネタ帳を見て、他の人気者の落語家が、わかりやすい爆笑ネタを一席、最後にお涙頂戴の人情噺なんかをやっていたりするのを知ると、「商売をしてやがる」と軽蔑をします。


日本テレビ系の「ダダダダ談志ダ!」長嶋茂雄が来るというだけで大騒ぎなのですが、その長嶋を師匠は三時間も待たせのだから凄い。長嶋は文句も言わずにおとなしく待っていたからこの人も凄い。そして遅れてきた師匠の第一声がこれまた凄い。「あんたは天才だから、このぐらいのことじゃ怒らないよな」


談志ってやっぱりスゴイんだよなー…。師弟愛を感じるなあー…。オススメです。(・∀・)