「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「武道を生きる」(松原隆一郎)

日本で生まれたはずの、日本のお家芸であるはずの柔道が最近、オリンピックでもメダルが取れなくなっているよね。なぜなのだろう?という素朴な疑問に答えたのが、この本。そして先日紹介したこれらの本だ。


「性と柔 女子柔道史から問う」(溝口紀子
http://d.hatena.ne.jp/lp6ac4/20160213

「七帝柔道記」(増田俊也
http://d.hatena.ne.jp/lp6ac4/20160318


さて、この本は、さらに武道、特に柔道の過去、現在、未来につい語った本。そのエッセンスを紹介しよう。


・最近の日本の柔道人口は約20万人(人口1億2000万人)これに比して驚くことに、国の人口が約5700万人であるフランスの柔道人口は56万人である。しかもその数は増え続けている。日本の柔道人口愛好家数はフランスの六分の一弱というありさまだ。


「柔道は『なんでもあり』の実践武道としては通用しないと日本の若者たちに思われているから、入門者が減ったというのである」柔道が明治以来、武徳会および高専柔道の異論とどのように対決しながら伝統武道の中心を占めるに至ったかを振り返る。


「外国人選手がタックルで倒したりすると、『正しい柔道ではない』と言われる」と言われることがある。なぜ柔道では、スポーツマンシップやルール以外に『正しい/正しくない』という基準が存在するのか。さらに「『引き込み』は、講道館柔道では禁じられており、わずか『七帝』や高専柔道など認められてきた特殊技術だが、最近流行しているブラジリアン柔術などではごく一般的な技である。なぜ国内での特殊ルールが海外では普及しているのか。


「立ち技・寝技は両輪のごとし」と謳ってはいるものの、講道館柔道が立ち業重視で発達したのは疑いなく、「立ち技八分寝技二部」が実質である。それに対して反抗したのが古流の柔術家たちだったが、それとは別に旧制高校専門学校では、三年間という限られた時間のうちに柔道を習得しなければならないために、寝技主体の競技ルールが採用され、「高専柔道」という独特な柔道が発展した。


「投げ技寝技五分の柔道」を完成させたのは、拓大予科を率いて昭和11年(1936)の高専大会で優勝した木村政彦であった。木村は、高専大会を経て独特の「腕がらみ」を編み出し、1951年でブラジルでヒクソンやホイスの父、エリオ・グレイシーから一本勝ちを収めた。今日、この技は「キムラ・ロック」と呼ばれ、ブラジリアン柔術で経緯を表されている。


「伝統武道・柔道確立への道」は特にオモシロい。柔道って奥が深いんだね。オススメです。(・o・)