「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「かないくん」(谷川俊太郎・松本大洋)


人は亡くなるとどうなるのだろう。どこへいくのだろう。「死」ってなんだろう。

「ある日、ともだちのかないくんが学校を休んだ。かないくんは親友じゃない。ふつうのともだち。日常に訪れた、はじめての“死”。死ぬって、ただここにいなくなるだけのこと?詩人、谷川俊太郎が、一夜で綴り、漫画家、松本大洋が、二年かけて描いた絵本」そのエッセンスを紹介しよう。


きょう。となりのかないくんがいない
きょうもかないくん、けっせき。
もういっしゅうかんもやすんでる。びょうきかな。
かないくんんはしんゆうじゃない、ふつうのともだち
かないくんは、にゅういんしてるんだって。せんせいが、みんなでおみまいの
てがみをかこうといった。


てがみをもっていったせんせいが、かないくんはきゅうがくするかもしれないといった。
みちことあきこがないていた。ふたりともかないくんがすきらしい。
びっくりした、きょうせんせいが いつもとちがうこえでいった。
「かないくんがなくなりました」


みんなでおそうしきにいった。


おきょうがはじまると、おさむがまっかなかおで、
したをむいている。
わらうのをがまんしているのが、みんなでうつりそう。


しんがっきがはじまって、となりがまつだくんになった。
かないくんがつくった、きょうりゅうが、まだある。
かないくんが、かいたえも、はりだされてる。
でももう かないくんは、しゃしんのなかに しかいない


しぬって、ただここにいなくなるだけのこと?


かないくんがいなくなっても、みんないつもとかわらない。


みちことあきこも、もうかないくんをわすれているみたい。


いきてれば みんなともだちだけど、しぬとひとりぼっち


「ここまで出来てるんだが、ここで止まったっきりだ」


絵本のスケッチを見せながらおじいちゃんが言う。


おじいちゃんは絵本作家だ。


「死を重々しく考えたくない、かと言って軽々しく考えたくもない」
独り言のようにおじいちゃんが言う。
「この絵本をどう終えればいいのか分からない」


リフトに乗っているとき 携帯にメールが入った。おじいちゃんが死んだ。


真っ白なまぶしい世界の中で、突然私は、「始まった」と思った。


何が始まったのかは分からない。でも終わったのではなく、始まったんだと思った。


ゲレンデを滑り降りながら 私は泣いているのか
笑っているのか 自分でも分からなかった。


…深い……そうだよね…何かが終わり、何かが始まるんだよね…。改めて「死」を考える絵本。オススメです。