野球が大好きである。次に生まれ変わったら野球選手になりたい!日本にプロ野球が誕生して80年。そしてその年に生まれた野村克也ことノムさんが語る、プロ野球歴代の名選手とは!?そのエッセンスを紹介しよう。
1935年、大日本東京野球倶楽部は「東京ジャイアンツ」は、初めてアメリカに遠征した。帰国後「東京巨人軍」と命名され、日本各地を転戦した。この年大阪タイガースも結成され、翌1936年からプロ野球のリーグ戦が始まった。
1935年6月生まれの私と、1936年生まれの長嶋は同じ学年でどちらもプロ野球の歴史そのものなのだと最近では思うようになった。本書は、私なりにプロ野球の最高の選手を選んでみようという試みである。
・ピッチャーは、4つに分類される。「1超本格派」「2本格派」「3技巧派」 「4超技巧派」 である。
「1超本格派」とは「100%ストレートがくる」と待ち構えていてる打者に対しても、ストレートで勝負できるピッチャーのことを指す。その点で最高の選手は金田正一と江夏豊である。ストレート一本で待っていても、バットに当たらない。カーブも球威と伸びでバットに当たらない。「1超本格派」を「投手の中の投手」と考えるなら、ベストの投手は金田と江夏、ということになる。
「2本格派」は、ストライクゾーンに来たストレートなら当てることはできる。だが、高めを狙った直球はその伸びでボール球でも空振りさせられてしまう。杉浦忠、山口高志、堀内恒夫、江川卓、さらには野茂英雄、藤川球児らがそうだ。
「3技巧派」は、1,2以外の投手という意味であれば、ほとんどがそれに当てはまるが、この代表格は稲尾和久である。稲尾のストレートは当てられないほどではないが、凡打、三振させられてしまうのは、その球質に原因がある。球速、球威が最後まで衰えない、いわゆる「球がホップする」球質なのである。稲尾の球速は145キロ程度、しかし手元でよく伸びてくる。体感速度が速い。「来た!」と思ってバットを振ったときには、すでに手元までボールが来ている。だから差し込まれてしまう。
さて、問題は「4超技巧派」である。ダルビッシュ有のピッチングを見ていると「本格派であり、技巧派である」と思わざるをえない。ダルビッシュの能力の高さは「危機察知能力」「危険回避能力」にある。大胆さと細心さを併せ持ち、その日に最も調子のいい珠、場面ごとに有効な球、危険な球を見極め、「ゴロを打たせるのか」「三振を奪うのか」という状況判断に長けている。だから私はダルビッシュを「超技巧派」「近未来型エース」を言い換えてもいい。
捕手編〜「当代きってのバランス型捕手ー野村克也」「完成された投手をリードする腕はピカイチー森祇晶」「配給を学べばもっと打てたー田淵幸一」など。
一塁手編〜「身にまとう空気が違った恐ろしい打者ー榎本喜八」「観察力に優れた、野村型フォームの長距離砲ー大杉勝男」「タイトルを獲れなかったのには、純然たる理由があるー清原和博」など。
二遊間編〜「天才肌のベストプレーヤーー高木守道」「ONを活かし、自分も活きた職人肌ー土井正三」「そのグラブさばきは手品のようだったー吉田義男」など。
三塁手編〜「現代でも通用する見事な打撃フォームー藤村富美男」「故障さえなければ、先に三冠王になっていたー中西太」「ミスタージャイアンツの最大の長所は、スイングスピードの速さー長嶋茂雄」など。
外野手編〜「守備にはまったく無頓着だった安打製造機ー張本勲」「私が野球人生で唯一諦めたことは、福本の盗塁であるー福本豊」「史上最高の努力家ー稲葉篤紀」など。
打者編〜「セ・リーグの捕手たちに対策を伝授したかったー王貞治」「自分のタイミングに投球を呼び寄せてしまう狩猟型バッターー落合博満」「相手のクセを研究し続け、一打席に執念をかけた努力の人ー高井保弘」など。
監督編〜「現代野球でも通用する采配を60年前から実践ー三原脩」「野球の原理原則にかなった用兵術と、非常ともいえる作戦の数々ー川上哲治」「選手の底上げありきの「農耕型野球」ー落合博満」「柔軟性と積極性を持った、新しいタイプの名将ー原辰徳」など。
さすがノムさんの分析は鋭い!野球ファン、必読っ!オススメです。(・ω<)