「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「うた恋い。和歌撰 恋いのうた」(渡部泰明・杉田圭)

恋の歌が好きだ。いわゆるラブソング。男と女から生まれてくるものが本来の歌なのだ、と思う。


さて、この本。「恋」をテーマに、監修者で東京大学大学院教授・渡部泰明氏が恋歌を解説し、杉田圭氏がマンガ化したのだ。しかも朗読CDS付き!万葉集の古代から、恋は変わっていないのだ。その代表的な歌を紹介しよう。



あかねさす 紫野行き 標野(しめの)行き 野守(のもり)は見ずや 君が袖振る(額田王

紫草の生える野原を行き、御料地を行くあなた。そんなに袖を振って、番人に見つかったらどうするの?


紫草(むらさき)の にほへる妹(いも)を 憎くあらば 人妻故に 我(あれ)恋ひめやも(大海人皇子

紫草の花のように美しい君を、嫌いになれるわけがないでしょう。たとえ人妻だとしても、恋しく思う気持ちは止められません。


月やあらぬ 春や昔の 春ならぬ わが身一つは もとの身にして(在原業平

月が違う?それとも春が昔の春ではない?あなたがいなくなり、すべてが変わってしまった。私だけを、あの時のまま置き去りにして。


思ひつつ 寝ればや人の 見えつらむ 夢と知りせば 覚めざらましを(小野小町

あの人のことばかり考えながら眠りについたおかげで、夢で逢えたのでしょうか。夢の中で、これは夢だと気付くことができたなら、覚めないよういしたのに。


恋ひしのぶ 袖の涙や 大井川 逢ふ瀬ありせば 身をや捨てまし(後深草院二条

あの人のことを恋しく思って流す涙は、川の水のようにあふれている。もし再会できるのならば、この川に身を投げてしまおうか。


…いいなあ。ロマンチックだなあ。古文の副読本に指定して欲しいよね。オススメです。(・∀・)