「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「俵万智訳 みだれ髪」(俵万智)

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「みだれ髪」といったら、美空ひばりか、与謝野晶子か。初版は1901(明治34)年なんだよね〜。ウチのトヨおばあさんよりも誕生が古い!!!120年前かー!!!この時期にこんな歌を読んでいたなんて。これはすごいー!!!わかりやすく万智ちゃんが現代語訳してくれたよー。その代表的な歌を紹介しよう。

 
血を燃やす一夜の夢を蔑むな恋とは神の意志なのだから血ぞもゆるかさむひと夜の夢のやど春を行く人神おとしめな)
 
・燃える肌を抱くこともなく人生を語り続けて寂しくないの(やは肌のあつき血汐にふれも見てさびしからずや道を説く君)
 
湯上がりの乙女の肌を覆うのは世間という名のつらき洋服ゆあみして泉を出てしわがはだにふるるつら人の世のきぬ)
 
この恋のゆくえわからぬ昨日さえ寂しかったよ今はゆくえが見えるこのおもひ何とならむのまどひもちしてその昨日すらさびしかりし我れ)
 
・大河ひとつ超えねばならぬ我ゆえに愛しき名前は消す旅日記(旅の身の大河(おほかは)ひとつまどはむや徐(しず)かに日記(にき)の里の名けしぬ(旅びと))
 
・恋が終わる命が終わる我が終わる琴に斧うつひびき残して(神のさだめ命のひびき終(つひ)の我世琴に斧うつ音さきたまへ)
 
・「二人とも才能ないね」と笑いおり歌より重き恋というもの(人ふたり無才の二字を歌に笑みぬ恋(こひ)二万年ながき短き)
 
湯上がりにおしゃれした吾に惚れ惚れすそんな昔がなくはなかったゆあがりのみじまひなりて姿見に笑みし昨日の無きにしもあらず)
 
・この夕べ誰でもよいから筆をとれ才能の墨が我には足りず(ぬしいはずとれなの筆の水の夕そよ墨足らぬ撫子がさね)
 
・美しき僧よあなたは見ないのか夕暮れ、海棠(かいどう)、夢見る乙女(額(ぬか)しろき聖よ見ずや夕ぐれを海棠に立つ春夢見姿)
 
青春はグラスに満たす赤ワイン 木蓮の白なんか無視して(春はただ盃にこそ注(つ)ぐべけれ智慧あり顔の木蓮や花)
 
・過去のこととは思っても眠られず君から聞いた恋物語さはいへど君が昨日の恋がたりひだり枕の切なき夜半よ)
 
・恋人に与える我の腕枕その白さには罪などあらず(人の子にかせしは罪かわがかひな白きは神になどゆづるべき)
 
この雨は我が心なり旅人よ今夜はここにとどまりたまえ夕ふるははさけの雨よ旅の君ちか道とはで宿とりたまへ)
 
・御親眠る墓を見守る白梅の根元の笹にたそがれは来る(御親まつる墓のしら梅中に白く熊笹小笹たそがれそめぬ)
 
・真っ白な扉が自慢の君だった 恋の短歌を書いたのは誰(誰が筆に染めし扉ぞ去年までは白きをめでし君にやはあらぬ)
 
・髪長き我ら二人を照らす月 白蓮なんか脇役にして(たけの髪をとめ二人に月うすき今宵しら蓮色まどはずや)
 
・師の君が葉の裏に書く上の句よ続きを書くのは我か彼女か(荷葉なかば誰にゆるす上の御句(みく)ぞ御袖片取るわかき師の君)
 
・それぞれの人間界へと手を降って別れた昨夜、我ら星の子(いづれ君ふるさと遠き人の世ぞと御手はなちしは昨日の夕)
 
白百合の君のおかげで結ばれた今夜神にも負けぬ我が肌今宵まくら神にゆづらぬやは手なりたがはせまさじ白百合の夢)
 
・彼の耳にあなたの歌をささやいた 夢で逢ってね、ごめんね、登美子(夢にせめてせめてと思ひその神に小百合の露の歌ささやきぬ)
 
・さようなら我ははかなきひと夜妻来世で逢えるまでさようなら(君さらば巫山の春のひと夜妻またの世までは忘れるたまへ)
 
・若鮎は今青春の川のぼり釣るならば細き真紅の糸で(春をおなじ急瀬(はやせ)さばしる若鮎の釣緒(つりを)の細緒くれなゐならぬ)
 
恋らしい恋もなかった二十年せめて今見る夢かなえてよ(二十(はた)とせの我世の幸はうすかりきせめて今見る夢やすかれな)
 
春なのに色なし草がぼうぼうの青春でしたこの五年間五つとせは夢にあらずよみそはせ春に色なき草ながき里)
 
・去年逝きし姉の名呼びて夕暮れの戸に立つ義兄(あに)をあわれと思う(去年(こぞ)ゆきし姉の名よびて夕ぐれの戸に立つ人をあはれと思ひぬ)
 
・理不尽な恋と思えど理不尽な恋だからこそ垣根を超えた(とかもへぞ垣をこゑたる山ひつじとおもへばぞの花よわりなの)
 
お情けはいらないちゃんと見てほしい恋に狂った我のすべてをそのなさけかけます君罪の子が狂ひのはてを見むと云ひたまへ)
 
・三年間君の名を見ず詩を読まず終わった恋と思いたいから(ここに三とせ人の名を見ずその詩よまず過すはよわきよわき心なり
 
・君の手が触れたその水その筆の愛しき歌はその筆で書く(御手づからの水にうがひしそれよ朝かりし紅筆(べにふで)歌かきてやまぬ)
 
世間体道徳来世関係ないここにいるのは恋する二人道を云はず後を思はず名を問はずここに恋ひ恋ふ君と我と見る)
 
若き娘の髪のしずくが草に落ち固まり生まれた蝶というものわかき子が髪のしづくの草に凝りて蝶とうまれしここ春の国)
 
完璧なボディに我は作られた「男」なるもの懲らしめるため罪かほき男これせと肌きよく黒髪ながくつくられし我れ)
 
「恋」という名のカクテルを味わって思う存分歌作ろうよその酒の濃きあぢわひを歌うべき身なり君なり春のかもひ子)
 
・病床の君のうなじに腕からめ乾いた口にキスしてあげる(病みませるうなじに繊(ほそ)きかひな捲きて熱にかわける御口を吸はむ)
 

いいいなあ……ワタシもまた歌、書き始めるかなあ。恋愛歌人復活かな。オススメです。(・∀・)

 

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