・野球は9人対9人で戦うチームスポーツだが、実際は投手と打者による1対1の勝負である、。、しかし、投手の指先をボールが離れると、コンマ何秒で勝負がついてしまう。そんな一瞬の勝負に、長々とアドバイスしている時間はない。孤独に勝てなければ、勝負に勝てないのだ。
・孤独に勝つ強さはどこから生み出されるのだろうか。私は「野心」を抱くことではないかと考えている。向上心よりも野心。「近い将来にレギュラーになってやる」という向上心よりも、「レギュラーの寝首を斯いてでもポジションを奪ってやろう」と心に秘めるのが一流への近道になる。
・どんな道でも成功を収めるためには、ある種の才能が必要だ。それは自分自身を適正のある世界に導く才能とでも表現すればいいのか、セルフプロデュースする能力が必要なのではないだろうか。
・また、「これをやっておけば絶対に大丈夫」という練習方法もない。だから、どんな仕事にも不安は常につきまとうものなのだ。誰もが不安を抱えているからこそ、試行錯誤しながら努力を続けられるのである。
・人間の成長にとって大切な要素として「心技体」という言葉があるが、「体・技・心」になると思う。若い時期に必要なのは基礎体力だ。ビジネスマンの場合は仕事をしていく体力ということだ。技術を持っている人は心を病まないという意味で技を先にした。どんな人でも、何かの技術を身につけようと、ひとつのことに打ち込めば、性格や考え方にも変化が生まれるのだ。
・プロ野球の世界に限れば、私自身は予習はいらないが、徹底した復習が必要だと考えている。自分の打撃フォームを固めていくためには、正しいスイングを数多く繰り返すしか方法はない。何度もスイングを繰り返し自分のスイングが固まってきたと感じたら、実際にボールを打ってみる。小さな課題を克服しながら納得できるスイングをできるようになったら、今度は1000回振っても同じスイングができるように精度を高めていく。どんな仕事でも、ひとつの技術を身につけていく作業は地味で、相当の根気も必要になる。飲み込みの早い人は忘れるのも早いことが多い。自分は不器用だと自覚している人ほど、しっかりと復習するものなのかもしれない。
・ビジネスマンもプロ野球選手も3つの段階の戦いに直面することになる。それは「自分、相手、数字」だ。この数字と闘うことは、一流のプロでも用意ではない。私が実践してきた唯一の方法は、「達成するのは不可能ではないか」という目標を設定することだ。三割を越えられない選手の傾向を分析すると、三割を目標にしているケースがほとんどである。一方、三割の壁を突破していく選手は、一度も三割をマークしていないにもかかわらず、三割三分あたりを目指している。私が現役時代に毎シーズン「三冠王と獲ります」と宣言していたのも、打撃タイトルを3つとも独占しようと取り組んで初めて、ひとつ、ふたつと手にできるということを、身をもって感じていたからである。
・(2007年日本シリーズの幻の山井大介の完全試合について)結論からいえば、私は今でもこの自分の采配を「正しかったか」それとも「間違っていたか」とういう物差しで考えたことがない。ただあるのは、あの場面で最善と思える決断をしたということだけである。邪念を振り払い、今、この一瞬に最善を尽くす。監督の采配とは、ひと言で言えばそういうものだと思う。
・レギュラーになって活躍したいと思うなら、この段階を踏まなければならない。
1 できないことをできるようになるまで努力し、
2 でいるようになったら、その確率を固める工夫をし
3 高い確率でできることは。その質をさらに高めていく
・自分がいいと思うものを模倣し、反復練習で自分の形にしていくのが技術というものではないか。ピアニスト画家と同じ。模倣とはまさに、一流選手になるための第一歩なのだ。オレ流ではない。すべては堂々たる模倣である。
・選手起用に関して、私はひとつの信念を持っている。それは「痛い」と言った選手は使わないということだ。レギュラーに対しても成長途上の若手に対しても同じである。デッドボールをぶつけられた時も同じだ。140キロで飛んでくるボールが体に当たれば痛いに決まっている。だから私は「痛むか?」などとは聞かない。「出るのか引っ込むのか、どうす?俺だったら、ほかの選手にチャンスは与えないけどな」ボソッとつぶやく。
・選手の指導に当たっては、次の二点を徹底してきた。ひとつは、絶対に押しつけてはならないこと。もうひとつは、鉄拳指導の禁止である。
さすが落合!言葉に説得力があるなあ!(@_@;) その他『「初」には大きな価値がある』『川崎憲次郎の先発の真実』は、なるほどナットク!超オススメです!( ^∀^)