- 作者: 池田憲章,高橋信之
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2001/01
- メディア: 文庫
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特に、小学校のときに問題になった、「ライダースナック投棄事件」。あのカードが欲しくて欲しくて、金持ちの子は、箱ごと買って、カードだけを集めて、スナックを捨てるというトンデモナイできごとだった。もちろん、私はその捨てた(?)スナックを食べるほうだったけど。いまでも、小田原の実家に帰ると仮面ライダーカードがあるよ。だって捨てられないもんね。
さて、この本は、その二大ヒーローの揃い踏み。誕生秘話から隠れたエピソード、その謎につつまれた「創世神話」を解き明かし、輝ける「英雄伝説」の軌跡を追い、彼らが時代のチャンピオンとなりえた秘密に迫る。巻末には、円谷皐・石ノ森章太郎両故人のインタビューを収録。そのエッセンスを紹介しよう。
・ウルトラマンの故郷は、光の国、M78星雲。オリオン座にある散光星雲のことだが、脚本家・金城哲夫氏が考えていたのは、M78星雲ではなく、M87星雲のほうであった。M87星雲は乙女座にある楕円銀河で、強力なエネルギー空間から電波やX線を放射している恒星集団である。ところがあるとき印刷の手違いでM87がM78星雲と誤植されてしまった。「まあ、それでもいいか」とイタズラ心で設定を変えてしまったのだ。
・仮面ライダーに心ひかれるのは、本郷猛や一文字隼人とう主人公が、単なる正義感から悪の秘密組織ショッカーと戦うのではなく、自分の体を改造された哀しみと憎しみ、怒りを胸に、燃えるファイターと化して戦いつづける「声にならない叫び・思い」が聞こえるように感じるからで、ここまで雄々しく哀しいファイターというのは、70年代から始まったと思う。
・怪獣の前に立ちはだかるウルトラマン。若干前かがみとなり、怪獣の動きをじっくり観察しながらジリッジリッと間合いを取っていることに気づくだろう。しかし、このポーズは偶然の産物だったのだ。円谷プロの満田監督は語る、「中に入っている古谷君がアクションに慣れていないので、火薬を使うと腰が引けちゃうんだね。および腰になっているのが、いつのまにかウルトラマンのポーズになってしまった(笑)」
・ライダー1号、2号が力を合わせてショッカーの強力怪人を迎え撃つ「ダブル・ライダー」は、偶然の産物だったのだ!第九、十話の撮影中(1971年3月)藤岡弘、氏がバイクで転倒・左大腿部複雑骨折というけがを負い、出演不可能になるというアクシデントが起きなければ、ボクらはダブル・ライダーの勇姿をおがめなかったのだ!!
・ウルトラマンに登場する主人公(科学特捜隊隊員)の名前について、今さらならがも真剣に考えてみると実に奇妙なことに気がつく。ハヤタ、ムラマツ、アラシ、イデ、フジアキコ…。そうフジアキコ隊員以外にはフルネームが存在しない。しかも、登場人物は明らかに日本人と思われるのに、名前はカタカナで統一されているのである。当時は大変めずらしい存在といえた。名前しかわからないぶん、私生活も秘密のベールに包まれているようで、親近感というよりは、憧れを抱いていたのかも知れない。
マニアの私でも知らなかった話が満載。ファンは必見!ファンならずとも、70年代の輝ける時代が蘇る!オススメよ!(^o^)/