「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら青のりMAX」(神田桂一 菊池良)

いや〜!やばい、オモシロイ……ハマってしまった!♪ このタイトル、着眼点、切り口、文章力、質と量、意外性、想像の外側……今年読んだ本のナンバーワンかもしれない……。不覚だった……。(笑)(・o・)!

 

「もしも村上春樹カップ焼きそばの容器にある『作り方』を書いたら」がツイッターから大拡散され、単行本としても2ヵ月で10万部を突破した『もしそば』待望の第2弾!森鷗外樋口一葉遠藤周作ゲーテヘミングウェイなど、新たな文体模倣ネタが“大盛”の120連発!さらに前作で登場した村上春樹らは特別座談会で登場します。有名漫画家の模倣を得意とする人気漫画家・田中圭一の描き下ろしによる爆笑イラストも必見」そのエッセンスを紹介しよう。

 
 
【 失楽麺 渡辺淳一 】

二人が逢瀬したのは鎌倉のホテルだった。瑠璃子の夕暮れのような赤いワンピース
に松重は思わず息を呑んだ。
 
「今夜は、満腹になるかもしれないわ」
 
璃子に怯えた様子はない。
 
「そのほうがいい」
 
「なんで?」
 
「きみが淫らになるから」
 
松重は瑠璃子を見つめる。そして、隣にあるカップ焼きそばを抱き寄せた。ビニール包装に手をかけ、ゆっくりと脱がしていく。
 
「開けて・・・・・・」
 
「あっ・・・・・・」 瑠璃子に言われるがまま、松重はカップ焼きそばの蓋を開けた。中から四角い小袋が姿を見せると、松重はそれを取り出し、熱湯の入ったヤカンに手をかける。
 
「そんな・・・・・・ 松重の手によって、容器にお湯が注がれていく。
 
電子が悶えるようにつぶやく。カップ焼きそばの容器が内側から熱くなっていくのか、見ているだけでわかった。
 
「ほら、こんなにお湯で溢れているよ」
 
「ダメよ、内側の線までにしとかなきゃ・・・・・・」
 
璃子は言葉ではそういうが、松重の横から動けなかった。
 
「三分たったら、湯切りするんだ」
 
松重は強引にお湯を捨てた。まさしくその瞬間、松重はカップ焼きそばの征服者だった。さらに松重は小袋を破り、ソースを麺の奥に潜らせていく。
 
「まだまだ、これからだぞ」
 
麺は箸で乱され、掻き回されていく。
 
「だめよう・・・・・・」
 
一旦、走り出した箸は、もはや止まりはしない。
 
 
【 麺身 フランツ・カフカ 】
 
 
ある朝、ザムザが目覚めると、自分が一個のカップ焼きそばになっていることに気づいた。彼は白いポリエステルの立方体になって横たわっている。表面はビニールで包まれていて、カップ焼きそば大盛」と書かれていた。
 
「これはいったいどういうことだ」さらにザムザは気がついた。自分の中に熱湯が入っているのだ。――「やれやれ、こうなると三分後に湯切りしないといけないじゃないか」――しかしそれは実行不可能だった。彼には足がないので立ち上がることができない。身体を傾けて湯切りすることはできない相談であった。
 
彼は壁掛け時計のほうを見やった。そして、「これはいかん」と思った。六時半であった。もうすぐ三分が経つ。それを過ぎると麺が伸びてしまう。
 
 
【 WWDC 2017 SOBA JOSE スティーブ・ジョブズ 】
 
 
今日はみんなに革新的なプロダクトを発表したいと思う。
 
(会場、歓声があがる)
 
OK、みんなの期待はわかっているよ。今日発表したいプロダクトは3つある。 たったの3つだよ。
 
1.小袋に入ったシンプルで最高級なかやくとソース
 
2. 沸騰させられたばかりのパワフルなお湯
 
3.乾燥したエキサイティングな麺
 
どれも僕が大好きなものに仕上がった。今日、これを発表できることが、僕は本当に嬉しいよ。 
 
かやくとソース、お湯、麺。わかるかい?
 
(会場がざわつき始める)
 
もう一度言うよ。かやくとソース、お湯、麺。そう、これは別々のプロダクトじゃない。この3つは、1つの革新的なプロダクトなんだ。
 
(奥の方から台車で四角い容器が運ばれてくる。会場のざわつきは次第に歓声へと変わっていき、大きな拍手が生まれる)
 
カップ焼きそば。最高の体験をきみにプレゼントするよ。
 
 
 
 
【 沸騰と湯切りのあいだ 辻仁成 】
 
(麺とソースをかき混ぜながら)「やっと和えたね」。
 
 
「三時物語(桐壺) 紫式部」「カップ焼きそばマンセー 北朝鮮の国営ニュース放送」「我が党が約束する4つの公約 マニュフェスト」「霧島、湯切りやめるってよ 朝井リョウ」「マルちゃんちえみ WITH B  ブルゾンちえみ」「つのだじろう ふう」「東京いいそば、やれるそば」(ホイチョイ・プロダクションズ)「至高のカップ焼きそば 海原雄山」「現代湯切論 立川談志」「SOBAGINE ジョン・レノン」「こんなよい麺を一人で食い寝る 尾崎放哉」「夢をかなえるメン 水野敬也などなど。
 
この幅広さに教養を感じる。すごい、すごすぎるっ!!!この本は、ワタシが書きたかった!!!(笑)今年読んだ本の中で、サイコーの本です。もう一度いいます今年読んだ本の中で、サイコーの本です。笑えます。超オススメです。(=^・^=)