このテーマの本は、いろいろと出ているが、事実は証言を積み重ねていくと、事故でなく事件だと認めざるをえないよなあ……。説得力あるよなあ……。
・日航ジャンボ機墜落事故発生。 単独機世界最大と言われる惨事が起きた。
乗客五百九名、インファント(幼児) 十二名含む
運航乗務員三名
乗員、乗客合わせて五百二十四名 定刻より十二分後に滑走路15Lから離陸
客室乗務員十二名
・こうして訓練を重ねてゆくうちに私たち全員の胸には、 いかなる状況の下でも笑顔を絶やさず、 乗客に安心感を与えてパニックを防止する精神がしっかりと宿って いった。だが実際にそのようなアクシデントに遭遇した時、 本当にそれが実施できるかどうか不安でいっぱいではあったが・・・・・・。
そのような緊張の連続である訓練所で、 初めて憧れのマークのついた制服が支給された時の喜びは今でも忘れない。 とにかく誰かに見せたくてたまらなかった。ちょうど実家の仙台から様子を見に来た母親に制服姿を披露したの だが、その時寮にいた同期のみんなも、私の母に制服を次々着て見せて、 写真撮影大会となったのを 思い出す。
・航空機の事故率は0.0009%だ。 日常的な車による交通事故に比べれば飛行機は驚くほど安全な乗り物で、 ひとりの人間が毎日乗ったとして四百三十八年間に一回遭遇するかどうかと説明しても、理解しがたい人も多い。JATA(国際航空運送)において、飛行百万回ごとに機種、 航空会社別に機体損傷の事故率を算出するが、毎年事故は減ってきている。ちなみに二〇〇 九年は百四十万回の飛行で一回の確率であった。
・すべてが運命だ、というだけでは片付けられない。多くの命を奪ってしまったその事実は、 私たちに何を投げかけているのか。
ただひとつ言えることは、乗客や乗員を知る残された者たち、 そして事故に関わった者たちもあの瞬間、大きな宿命を背負った、ということである。そして私の果たすべき宿命とは何か。
突然起きた事故の原因も分からずに、 必死に仕事をしながら亡くなっていった先輩
たちを想う時、もしそれが私であったなら、 一番知りたいことは何か。
あの時、一体何が起きたのか、 なぜ死ななければならなかったのかということだ。 今、 私に出来ることはこのことを調べて先輩たちへ伝えることではない か。そして、この事故とかかわった者たちにとって、 それが残された人生への重い課題かもしれない。
・どんなことがあったとしてもJALのマークの飛行機が落ちた事実 はかわらない。ただ、 なぜ落ちたのかは明日も飛行機に乗る客室乗務員として絶対に知り たい、知らなくてはならない。当然のことながらこれは整備、 地上職も含めた全社員の気持ちであった。
その結果、自分たちの落ち度であったならば、すべて受け入れる。ただし、何が起きても真実が捻じ曲げられることがあっては、 この飛行機に乗っていた五百二十四名が絶対に許さない、 同僚たちも決して許さないのだ。
冒頭は、著者の経験で客室乗務員の研修や訓練、仕事の様子が詳細に書かれている。人間模様の描写が胸に迫る。オススメです。
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