
この本は、衝撃的だ。驚いた。実体験の手記、ノンフィクションなのにビックリした。今年読んだ本のベスト3になるだろうなあ。いや〜!スゴイ!!!
「20代後半で結婚し、夫婦共通の趣味である旅行を頻繁に楽しむなど、平和な日々を過ごしていた2018年のある日、発覚した夫の女性ホルモン剤服用。まさに青天の霹靂といえる事態に混乱しながらも、何度も話し合いを重ねながら女性化していく夫を見続けた2年間を綴った手記」そのエッセンスを紹介しよう。
・「もうこれ以上自分が中年男性になっていくことに耐えられない。 残りの人生は女 性として生きていきたいんだ」2018年3月、夫は突然このように宣言しました。
・「いや、若い時からずっと性別の違和は感じていたんだ。 でも女性になりたい気持 ちは封印して、これまでは男性として生きてこれたんだけど、 40歳の誕生日を迎えた頃から、もう人生が残り半分しかないじゃんと気づいて。 このままどんどんおじさん化が進んで死んでいくと思ったら、 もう居ても立ってもいられない」
一体この人は何を言っているのだろう? まさしく私にとっては青天の霹靂であり、しばらく事態が呑み込めませんでした。そしてこれは夫が「自分で女性ホルモン剤を個人輸入し、 誰にも言わずに服用していることを妻である私に見つかる」という形で発覚しました。
・ 40代を迎えたのをきっかけに、 残りの人生は女性として生きていきたいと決意し、夫が泣きじゃくりながら語った内容をまとめると
・ 幼い頃から自分の体が男性であることへの嫌悪感があり悩んできた
・ただ、思考や振る舞いは他の男性と変わらないと自覚していた
・恋愛対象も女性だったため、 違和感を持ちつつも年月を過ごしてきた
・20代半ばに将来を考え、 これからは完全に男性として生きていくと決意した
・実際に結婚後は過去に覚えた違和感をほとんど忘れかけていた
・30代半ば頃から薄毛、加齢臭など男性特有の中年化が始まり、 再び男性の体でいることに耐えられなくなった
私は考えもしなかった言葉の数々に、 夫が何を言っているのか頭が回らず理解が追いつきませんでした。一体何を話しているんだろう? どこからどう見ても男性に見える夫が、ずっと女性になりたかった? そんなバカな!容易には信じられませんでした
・夫は「女性ホルモン剤を飲み始めたら、 男性的な荒々しい気持ちがウソのようになくなって、今はすごく落ち着いた気持ちで過ごせてるんだ。 だから止めたくない」「ショックで泣き出したいのは私のほうなのに」 と思いながらも同時に、「人はショックを受けすぎると妙に冷静になるものだな」 と自分の気持ちを分析していま した。
・「あなたたち夫婦は、本当は信頼関係なんてなかったんだよ」 と突きつけられた気分でした。
・まだ女性ホルモン剤が体内に入り始めて間もなかったこの頃、 夫は自分のことを
まるで10代前半の少女のように思い込んでいるフシがありました 。「自分は(少女だから)恥じらいがあるし、 おじさんの男性医師なんて怖くて気持ち悪い」と言うのです。私には正直、 この男性医師も夫も同じ中年男性にしか見えないのですが、本人は本気でそう言っています。 どうも女性ホルモン剤を服用し始めた最初の時期に、このような精神的症状が出ることはままあるらしいのです。
・「「外見を違う性別に変えたい” という個性を尊重してあげるべきだ」という認識もありますが、でも本当は「見かけ」以上に「中身」 が変わっていってしまいます。当事者と家族は、今までと同じ関係性を継続できなくなるのです。 外見以上に、中身が様変わりした当事者とどう関わっていくかに、 家族は悩み続けるのです。
・歯ブラシやタオルなど、 家族の中で色分けすることで区別をしている家庭も多いと思いますが、 そういった生活用品が私の使っているものと同じになって区別がつきにくくなりました。可愛いものを見ると我慢できなくなり、 キャラクターグッズをたくさん買い集めるようになりました。 当たり前のように話すのですが、そんな話は一度も小さい頃から大好きだったと 聞いたことがないし、 夫の実家の子ども部屋は今もそのままの状態になっています が、キャラクターものはひとつも置かれていません。
・食事の好みも大きく変わり、 その中でも一番変わったのは甘いものが大好きになったことです。毎日甘いものを食べていないといられなくなり、 連日会社帰りに デザートを買って帰ってくるようになりました。そして不思議だったのが、買ってくる衣服と、 その着こなしのセンスがかなり良くなっていきました。特に、本当の女性だってこんなに持っていないよ、 というほどに大量のスカートを購入していきます。
・この間に私たちは数えきれないほど何度も話し合いを重ねてきまし た。 当初はどう見ても男性にしか見えなかった夫は、 約2年の間に髪もすっかりロングヘアになり、だいぶ女性らしい顔つきや体型に変わりました。
・夫が昔は男性であったことを知っている人にはやはり男性のままに 見えるが、初対面の人には女性と認識される、そんな変化過程の時期でした。
・当初から二人の共通の考えとして「 夫婦関係はこのまま続けていく」ことを前提にして話し合いをしてきました。ホルモン治療の通院が開始されるとともに気持ちは暴走し、 もうただの1日だって男性のままでいることに耐えられなくなり、私と交わした 約束の期日や内容を簡単に破るのです。
・総じてトランスジェンダーは「急ぐ」傾向にあります。ホルモン治療を始めてから数年間の心と体の変化は凄まじく、 程度の差はあれど人が変わったかのように焦って治療を進めようとします。周りの人の気持ちが考えられなくなり、 自分勝手になる人が多いようです。そのような中で、それでも人の気持ちを考えられるか、 どれだけ理性を保てるかが問わ れると考えています。
・女性として生活を送ったことで、 もう元に戻りたくなくなったようなのです。 そして大泣きしながら私に、「もうコップの水が溢れた、限界。 離婚してください」ふっとしたはずみで出た言葉ならまだ分かりますが、 別に何も喧嘩もしていません。本人の中でどんどんメンタルが落ちていき、「 明日から男性の恰好で出社しないといけないのは妻のせいだ」となってしまったようです。
・ホルモン治療を始めてから約2年の間に、 夫の性的指向は目まぐるしく変わりました「心の中身はこれまでと変わらないよ」 と言っていましたが、自分の体が女性に近づいていくにつれ、 性的指向が揺れ動くようになり変わっていきました。
・ホルモン治療を始めた当初は「自分の性自認は女性だけど、 恋愛対象も女性。だ
から自分はレズビアンだ。だから妻への気持ちも変わらないから」と、言っていたのですが、「妻のことは身内だからもちろん大切。 でも女性全体にはあまり興味がなくなってきたかも」から、「 テレビを見ていても惹かれるのは女性より男性の俳優さん」になっていきました。
・私自身が、もうこれ以上夫に頼って生きる人生は終わりにして、 新しい人生を切
り拓いていこうと決心して、私のほうから離婚することを決断しました。
・元夫が女性化していく行動はかなり自分本位なものでしたが、 それ以外の面で私の知っている、信頼できる人のままであることが嬉しかったです 。離婚が成立する最後まで元夫は「 自分は別に離婚するつもりはなかった。自分を愛してくれる人であれば、相手は女性である元妻でも、 男性の誰かでもどちらでもよかったんだ。でも離婚すると言われてしまったから、 ならばと男性へ気持ちをシフトしただけ」と、 男性へ強く惹かれていった気持ちを認めてはくれませんでした。 でもその切り替えはとても早いものでした。
・性別適合手術を終えて、 タイから帰国をして数カ月後には男性との出会いを求め
て婚活を開始し、 2022年に男性と再婚をしてとても幸せそうに暮らしています。私と元夫の現在の関係はというと、 友人としてたまに連絡を取り合ったり、一緒に食事をしたりする関係に落ち着きました。
・夫だった人が女性に変わってしまった姿を見るのは正直、 今でもつらく悲しいももがあります。十何年間夫婦だっただけあって、 久しぶりに会っても気兼ねなく接することがで きて話も弾むのですが、やはり私にとって元夫はずっと「男性」 であり、「女性」として見ることはできません。多分これからも一生、私にとっては男性のままです。
・「旦那さんに愛されて毎日が本当に幸せ」と嬉しそうに話す姿を見ている と、私はこの幸せを十分に与えてあげることができなかったのだな、と申し訳なくも感じます。一度女性に変わってしまったからには、再び元の性別にはそうそう戻れないのですから、このまま女性として残りの今世の人生を幸せに歩んでいってほしいなと願っています。
いや〜すごい……心の変化が壮絶だ……胸が苦しくなる……。このようなケースは実際にはもっとあるんだろうね。超オススメです。

