「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「セックス レスキュー」(大橋希)

f:id:lp6ac4:20201122164109j:plain

セックス レスキュー

セックス レスキュー

 

 

なかなか下半身の話題は、おおっぴらには出来ないよね。下ネタぐらいだったらいいけど、家庭のSEXについてはなかなか話せないよね。(笑)

 

さて、この本。「セックスレス―うつや不眠をも引き起こすという、この深刻な問題に悩む人妻たち。そんな彼女らをリハビリとしての性交渉によって救おうとするボランティア、「性の奉仕隊」の存在に著者は驚き、取材を始める。組織を主宰する人物は何者か。隊員たちの本音とは。そして利用者の実体験とその効果は?家庭内セックスレスという、身近にある現代の病に鋭く迫った衝撃のルポルタージュ」そのエッセンスを紹介しよう。
 
・彼女は静かにこう言ったー自分がだんだん死んでいくみたいで。高いところから突き落としてくれって、夫に言ったこともありました。彼は「殺人犯になるからいやだよ」と言ってくれましたけど、同じことですよね。彼女を苦しめているのは、夫がセックスをしてくれないこと。性の喜びにつながるはずのセックスが。裏を返せば人を「殺す」武器にもなりうるということか。
 
キム・ミョンガンが主催する相談所「せい」の「せい奉仕隊」は、単に話を聞いたり、薬を処方したり、夫の協力も得て二人の仲を見つめ直してもらうというのではなく夫以外の男性とのセックスを「解決法」として勧めている。そのお相手になるのが、ボランティアとして組織されるせい奉仕隊だ。(売買春とは違い、性行為への対価は支払われない。キムが紹介料をとることもない)
 
・パートナーとの性の楽しみを分かち合えないなら、女性だって別の相手を探せばいい、というのがキムの基本的な考え方だ。「ここは野戦病院みたいなもの。傷つき、喉がからからに渇いているひとには、とにかくコップ一杯の水を飲んでもらうしかない」
 
・「マスターベーションをしたらどうですかと、バイブレーターのカタログを見せた。そうしたら『私は膣にモノを突っ込みたいんじゃないんです!』と怒られましてね」彼女たちに欠落している部分人間でしか埋められない。ぬくもり、抱擁、愛撫、言葉、表情、視線、快感……そのすべてがセックスであり、かわりになるものは、たぶんない
 
・(あなたにとってセックスとは?)「つまらない答えだけど、『必要なこと』ビールの泡みたいな感じかな。なくても飲めるけど、なかったら美味しくない。これまで何度も、このままじゃ自分が枯れていく、心の中がからっぽになっていくって思った」
 
彼女が求めているのはたぶん、セックスという行為そのものだけではない。自分の話に耳を傾け、いっしょに喜び、悲しんでくれる、そして思い切り包み込んでくれる存在がほしい。セックスはその一部であって、すべてではない。
 
・(香山リカ)やっぱり!でも、負けた……。精神科医であるがゆえに私は、「性の奉仕隊」を紹介するといったストレートな処方箋は示せない。「パートナーと性の楽しみを分かち合えないなら、女性だって別の相手を探せばいい」とは、たとえそう思っていても精神科医はとても口を出すことはできない。「奉仕隊」とのセックスに命を救われた、という女性が語る言葉を知ったら、世の男性も「こんなことをするのは欲求不満の女性たち」などとは言えなくなるはずだ。
 
「このまま女として終わりたくない」「セックス小国日本の現状」「胞子体を利用した女性たち」「隊員たちの本音」など。
 
なかなかすごいルポルタージュだなあ……。これが日本の現状なんだろうなあ。「野戦病院」は必要なんだろうねえ。興味ある方、オススメです。(・∀・)
 

キム・ミョンガンのオフィシャルサイト 相談所「せい」

 

 

f:id:lp6ac4:20201122164109j:plain

セックス レスキュー

セックス レスキュー