なかなか下半身の話題は、おおっぴらには出来ないよね。下ネタぐらいだったらいいけど、家庭のSEXについてはなかなか話せないよね。(笑)
・彼女は静かにこう言ったー自分がだんだん死んでいくみたいで。高いところから突き落としてくれって、夫に言ったこともありました。彼は「殺人犯になるからいやだよ」と言ってくれましたけど、同じことですよね。彼女を苦しめているのは、夫がセックスをしてくれないこと。性の喜びにつながるはずのセックスが。裏を返せば人を「殺す」武器にもなりうるということか。
・キム・ミョンガンが主催する相談所「せい」の「せい奉仕隊」は、単に話を聞いたり、薬を処方したり、夫の協力も得て二人の仲を見つめ直してもらうというのではなく夫以外の男性とのセックスを「解決法」として勧めている。そのお相手になるのが、ボランティアとして組織されるせい奉仕隊だ。(売買春とは違い、性行為への対価は支払われない。キムが紹介料をとることもない)
・パートナーとの性の楽しみを分かち合えないなら、女性だって別の相手を探せばいい、というのがキムの基本的な考え方だ。「ここは野戦病院みたいなもの。傷つき、喉がからからに渇いているひとには、とにかくコップ一杯の水を飲んでもらうしかない」
・「マスターベーションをしたらどうですかと、バイブレーターのカタログを見せた。そうしたら『私は膣にモノを突っ込みたいんじゃないんです!』と怒られましてね」彼女たちに欠落している部分人間でしか埋められない。ぬくもり、抱擁、愛撫、言葉、表情、視線、快感……そのすべてがセックスであり、かわりになるものは、たぶんない。
・(あなたにとってセックスとは?)「つまらない答えだけど、『必要なこと』。ビールの泡みたいな感じかな。なくても飲めるけど、なかったら美味しくない。これまで何度も、このままじゃ自分が枯れていく、心の中がからっぽになっていくって思った」
・彼女が求めているのはたぶん、セックスという行為そのものだけではない。自分の話に耳を傾け、いっしょに喜び、悲しんでくれる、そして思い切り包み込んでくれる存在がほしい。セックスはその一部であって、すべてではない。
・(香山リカ)やっぱり!でも、負けた……。精神科医であるがゆえに私は、「性の奉仕隊」を紹介するといったストレートな処方箋は示せない。「パートナーと性の楽しみを分かち合えないなら、女性だって別の相手を探せばいい」とは、たとえそう思っていても精神科医はとても口を出すことはできない。「奉仕隊」とのセックスに命を救われた、という女性が語る言葉を知ったら、世の男性も「こんなことをするのは欲求不満の女性たち」などとは言えなくなるはずだ。
「このまま女として終わりたくない」「セックス小国日本の現状」「胞子体を利用した女性たち」「隊員たちの本音」など。
キム・ミョンガンのオフィシャルサイト 相談所「せい」