
ときどき読みたくなる東海林さだおさんの本。いいなあ。チカラが抜けるなあ。リラックマできるなあ!♪(^^) 最新作はベスト版だね。
「読めば必ず食べたくなる66篇ぜんぶ「麺」の傑作選!『タコの丸かじり』から『パンダの丸かじり』まで、人気食べ物エッセイ「丸かじり」シリーズ計43巻1514篇から選んだ麺、麺、ぜんぶ麺の傑作選」そのエッセンスを紹介しよう。
・ラーメンは、数ある麺類の中でも、特別の存在で、学術的には、麺類矢も盾サンダル科小走り目飛び込み網として分類されている。同じ麺類でも、たとえば天ぷらそばにはこういう訴求力はない。おかめうどんにもないだろう。
・ラーメンは時間の禁忌から開放されている、という点も見過ごすことはできない。ラーメンはスナックであるから、どんな時間帯でも食べることができる。午後の四時でも食べようと思えば食べられる。しかし同じサンダル科に属する天丼、カツ丼は、午後の四時にサンダル現象が起きたとしても、夕食のことを考えれば、おのずと限定されているのである。つまり、発情期が、おのずと限定されているのである。
・まず店主が「いらっしゃい」と言い、続いてその横に立っていたおかみさんが「いらっしゃい」と大きな声で言った。店主の横に立っていたのは確かにおかみさんか?と言われれると、戸籍謄本を取って調べてみたわけではないので自信はないが、多分そうだと思う。
・「ラーメン屋のおやじの声も味のうち」という名言はないが、ま、声にツヤがあるのは元気な証拠だ。
・正月の カレーライスの 旨さかな という名句がある。(ぼくがつくったんだけどね)
・ラーメンというものは、頭に浮かんでしまったら最後、もうどうにもならなくなる食べ物である。矢も盾もたまない、という気持ちになる。“矢も楯ランク第一位”というくらい“矢も楯指数”の高い食べ物である。
・六百五十円のラーメンだったら、五十円はパフォーマンス料なのだ。
・液状化現象が、いま食べ物の世界に蔓延しつつある。スープカレーが流行っている。スープスパゲティが多くの店のメニューに載るようになった。スープチャーハンが注目され始めている。担々麺の汁の水位は年々上昇してきた。これらの現象はいったい何を物語っているのだろうか。これは何かの始まりではないのか。水面の上昇は陸地の水没化を意味する。いままで陸地であったところ、すなわちカレーにおけるライスの丘、スパゲティにおける麺の孤島、チャーハンにおける炒めライスの小山、そのいずれもがその周辺を水面で取り囲まれたのである。
・力うどんを注文したぼくに対して、四名の客は「何かある人だな」「ここで力をつけなければならない事情のある人」「ここ一番、自分を雰囲気させなければならない事情のある人」という印象を持ったのだ。
・ぼくはすっかりあがってしまった。あがって全身が硬直してしまった。死後硬直ならぬ生前硬直である。
・(沢野ひとし)東海林さんがどんな本を読み、文章の研究をしてきたかを紹介したい。これは『本の雑誌』1984年12月号に東海林さんが並べた「オールタイムベスト10」である。
・北杜夫 ・太宰治 ・ヘミングウェイ ・梶井基次郎 ・中島敦 ・木山捷平 ・丸山薫 ・大宅壮一 ・有島武郎
・北杜夫 ・太宰治 ・ヘミングウェイ ・梶井基次郎 ・中島敦 ・木山捷平 ・丸山薫 ・大宅壮一 ・有島武郎
これらの作家を眺めると、東海林さだおさんの上質な文学性がより理解できる。やわらかい文章に時々むずかしい漢字、たとえば「臥薪嘗胆(がし)」などの文字を使うが、これはけっしてコケおどしではなく、その言葉がピッタリとおさまっているのだ。東海林さんが、他のいわゆるエッセイストとちがうところは、深い教養の下地があるからこそ、いつまでも文章が色あせることなく、世代をこえて読みつがれていくのである。
「麺類矢も盾サンダル科小走り目飛び込み網」「その誠実は誰のため?」「名店の作法」「具を愚考してみた」「店主のパフォーマンス観察記」明るくのびのび一八〇円(びっくりラーメン)」「「土佐っ子ラーメン」恐るべし」「担々麺における液状化現象」「「始めました」に見る無気力」「冷やした人は誰なんだ?」「B級の覇者ソース焼きそば」「ビーフンと日本人」「蕎麦のズルズル」「きつねそばと稲荷ずし」「キュウリと鶏肉炒め」など。
やっぱりいいなあ。疲れたときには東海林さだおだね。超オススメです。(^^)

