「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「教えないスキル ビジャレアルに学ぶ7つの人材育成術」(佐伯夕利子)

この本、いいわー!まさに教育も時代とともに変わったなー!と感じるわー!報道では、スポーツ業界のパワハラや暴言、暴力が多いけど、これからはこの方法だねー!♪

 

ビジャレアルの育成改革に日本人女性の凄技。スペインのフットボールチームビジャレアル。欧州リーグ優勝をしたクラブとしても、人気が高い。ビジャレアルカンテラ(育成組織)はヨーロッパ及びスペインで最も堅実な育成機関と評されている。自前の下部組織からの選手が多勢いることからもわかる。2014年から、チーム一丸、この育成・指導大改革に携わった著者。彼女はスペインで初の日本人クラブ監督に就任した経歴もある。日常の家庭での教育にも、置き換えてみれば取り入れ可能なメソッドが多い。「教えない」ことで「学びの意欲が増す、成長する」。そのヒントが満載!」そのエッセンスを紹介しよう。

 

・2020年10月、かつてマンチェスター・シティFCのアカデミー(育成組織)に所属していたジェレミーウェスティン17歳で亡くなりました。18年にシティから契約を切られていました。9歳でアカデミーに入団する子どもで、トップチームデビューするのは1%に満たず、13歳から16歳までの間に4分の3以上が戦力外となり、16歳でプロ契約を結んだ選手の98%が近くが、18歳時点ですでに1から5部までの上位5リーグで生き残れません。イングランドの150万人以上のフットボーラーのうちプレミアリーグでプレーしていたのは180人、その確率はたった0.012%となります。プロへの道は非常に厳しいものになっているのです。
 
 
・元NBA(全米プロバスケットボールリーグ)選手の約60%が、現役を退いて5年以内に自己破産するそうです。フットボール界では、元イングランドプレミアリーグ選手の60%が引退後5年以内に自己破産。引退後、税金の未払いや投資の失敗、ギャンブル、離婚の際の慰謝料などで出費が膨らみ、破産にいたったのだそうです。例えると「高級車から軽自動車に乗り換えられる感覚が備わっていないと、プロとしてキャリアを積んでいくことはできない」
 
けがをしたり、戦力外になったら、収入がゼロになるかもしれないリスクと常に背中合わせ。スペインの厳しいフットボール界を生き抜くことは、薄い氷の上を歩くようなものなのですが、彼らにはその感覚がわからないようです。状況が変わっても、何百万、何千万という大金が毎月支払われる感覚で生活しがちでした。
 
お預かりしている選手たちを「フットボール選手」としてしか育成してこなったのではないか。「選手じゃなくなった時の彼ら」に責任を持とう、そう誓い合ったのです。「育成のビジャレアルという看板を掲げ、もう一弾上のコーチングメソッドを構築しようと、14年から指導改革に乗り出すことになりました。本書は「持続可能な人材育成術」かもしれません。何年、楠十年経っても参考にしてもらえる。それが「教えないスキル」教えずして人を伸ばす方法です。
 
・ピッチの外からコーチの姿や声をカメラでとらえ、胸にアクションカメラとピンマイクをつけて、選手が、指導をどう受け止めているかを探りました。そのビデオを見て、私たちコーチは互いに指摘し合います。「あんなにシリアスに言ってしまうと、選手たちは怖がっちゃうよ」「あそこは選手に自分で考えさせたほうがよかった」「あの声がけは良かったね」と褒めたりもしました。
 
・選手の声がけに支配的なキーワードが目立つことが明らかになりました。こうしろ、ああしろという指示、命令。選手へのダメ出し。否定です。そういったことをしてしまっていることへの気づきとともに、カメラや、マイクをつけ、自分を可視化するプロセスによって何事も「俯瞰して見る」癖をつけることができました。「これって意味があるのかな?」「選手のためになっている?」「ノーだね」とため息をつく。そんなことが繰り返されていました。
 
・メンタルコーチが、私が発した言葉の「仕分け」をしてくれました。大きく分けて3つ。
 
①選手を肯定したり鼓舞するようなポジティブなメッセージがどのくらいあるか。
②ダメ出しを含めたネガティブなメッセージはどうか。
③同じ選手に何回声をかけたか。A君には13回、B君にはたったの2回。なおかつその内訳まで細かく記録されていました。
 
・「勝つためには…」「相手のフォワードが…」そんなことを言おうものなら「それは、あなたがたの力でどうにかなうものなの?」と指摘されたものです。プレーするのは選手。自分の力が及ばないことに時間を費やすのは無駄であるということです。
 
駅を通過するイメージをしてみよう。何が見える?気味は、その電車に乗っている自分が見える?それとも、通過するその電車に乗っている君を、駅のホームから見つめる君も見える?
 
「結果」とか「相手」とか「勝ち負け」などは、自分が何かすればどうにかなるものではないーそのことに指導者自身が気づきます。
 
「指導が一方通行だ。子どもの判断に対し、僕らは自分の考えを押しつけるばかりで、彼らの判断について尋ねてみたことがあっただろうか」練習中のグラウンドから、指示、命令が目に見えて減っていったのです。代わりに「問いかける」コーチが増えました。「今、どうして右に出したのかな?」「だって、パスコースが消されてたから……」と言って、まるで叱られたかのような表情になるのでした。その疑問形は、実はダメ出しをする言葉だったのです。
 
感情的になると、大切なものを見落としがちです。私はメンタルコーチからこんな質問を受けました。流れる河を、川岸から見ている自分をイメージしてみよう。上流から「感情丸」という小舟が流れてきました。あなたならその「感情丸」をどう扱う?
 
①「感情丸」に飛び乗って自分も一緒に流れていく。
②「感情丸」が下流に流れていくのを、そのまま岸から眺める
 
・「あそこに◯◯君がいるよ!」「右にパスを出して!」と一方的に答えを与えるのではなく、子どもたちに「気づき」を促すフィードバックを心がけます。どうして?どのように?といった「オープンクエスチョン」をなるべく心がけ、二択や三択のクイズにして誘導的な問いかけをします。
 
私たちが「攻撃」「守備」という言葉を使わなくなったのは、フットボールというスポーツをとらえ直したことがきっかけです。コーチが使うと「2つは別物である」という理解が生まれてしまいます。フットボールには継続性があります。便宜上、ディフェンダーフォワードというようなポジション名がありますが、それは守備をする側、攻撃する側という境目はありません。
 
フットボールは、想定していた現象が起きる可能性が圧倒的に低いスポーツであり、教え込みの指導はまったく意味をもたなくなるのです。
 
・集団スポーツでは「意思統一」という言葉がよく使われますが、私たちは「共通認識をつくる」という表現をします。「走れ」「走れていない」という言葉。この理解は人それぞれまったく異なります。そもそも試合中に「走れる」とはどんな選手なのか、イメージが揃っていません。走れていない、寄せろ、ラインが高い、低い、コンパクトじゃない。そういうものを一個一個本当に解読していくことで、選手個々の理解や感覚が実はかなり違うことがわかるはずです。それをみんなですり合わせることでチームとしての共通認識が生まれてきます。
 
私たち指導者の役目は「失敗しないように導く」のではありません。失敗を恐れず踏み出せる子、失敗を糧にできる子を育てること。なるほどねと耳を傾けられる大人たちがいる空間を、人材育成の現場でつくり上げていく。そのためには、人と人との関係性を対等にしていくことが重要なのです。
 
フットボールに関しては、練習すればするほどうまくなるような単純な競技ではないと思っています。
 
・秘伝の育成レシピがあるわけではなく、「常識ある範囲で」「選手を最優先に」「(脳科学や心理学を含めた)科学的な根拠をもとに」指導を探索してきました。この3つを念頭に、ただただ日々精進あるのみ。
 
・スペインでは、小学生は75分以上は練習しません。中学生以上はプロでさえも、90分以上練習することはありません。なぜならば、ゲームが90分だから。要は最も現実に近い状態でトレーニングをすることが、クオリティが高い状態とされています。ッ加えてフットボールという競技における人間の集中力が「90分以上もたない」のも、ひとつの理由です。
 
「教える」は、指導者や上司が主語です。一方の「学ぶ」は選手や部下が主語になります。指導者はあくまでも選手の「環境」の一部と言えます。したがって、彼らは教えません。手取り足取り教える代わりに、選手が心地よく学べる環境を用意し、学習効果を高める工夫をする。「教え方がうまい」といった指導スキルではなく、選手が学べる環境をつくることが育成術の生命線なのです。「伸ばしたい相手を主語にすれば、誰しもがその相手のために心地よい学びをつくろうとする。誰しもが工夫し始めるのだ」と。
 
・社会に近づける取り組みを大人たちがしていく。接点をつくってやることがとても大切です。これこそが「教えないスキル」です。

 

多くの指導者や管理職、経営者に読んで欲しいね。オススメです!(・∀・)