以前紹介した「江戸小ばなし」の第二弾。ネタが古いようで、新鮮なものもたくさんあるんだよね。逆に平成生まれのヒトには、ウケるんじゃないかな。そのエッセンスを紹介しよう。
「辞世の句」
泥棒がつかまり、処刑されることになりました。 いよいよ処刑されるときになって、
泥棒が、「お役人さま、しばらくお待ち下さい。 今から辞世の句をよみますから」と
申し出ました。
〈泥棒ながら、感心なやつ〉と思った役人が
「では、待ってやるから、よめ」というと、泥棒は
「かかるとき さこそ命の 惜しからめ かねてなき身と 思いしらずば」と、よみました。
「なんだ、それは太田道灌公の句ではないか」
すると、泥棒はにやりと笑って、
「へい、これがこの世での盗みおさめでございます」
「半殺し」
「お前はやたらと金を欲しがるが、命より金が欲しいか?」
「ええ、大金が手に入るなら、こんな命のひとつやふたつ、 惜しくもありませんね。殺されたって、本望ですよ」
「そうか。それなら、オレがお前に千両やれば、 好きなだけなぐって、殺されてもいいんだな?」
「旦那も千両出すとなるとたいへんでしょう?ですから、 半殺しということで、ご百両出すってのは、どうでしょう?」
「泥棒はどこ?」
たいへん足の速い男が、
泥棒を追いかけていつ途中で、友だちと会いました。
「そんなに急いで、どこへ行くんだ?」
「今、泥棒を追いかけているんだ」
「泥棒?泥棒なんかいねえじゃねえか」
「あとからくる」
「身投げ」
両国橋で、毎晩身投げをする人間がいるため、橋の番人は役人に
「このように毎晩、身投げが出るのは、 お前が仕事をさぼっているからにちがいないっ」
と、さんざん小言をいわれます。
橋の番人はくやしくてなりません。そこで、 いつも以上に気をつけていると、夜中に若い娘が走ってきて、 橋の欄干によじのぼり、身投げをしようとしました。
橋の番人は娘を後ろからつかまえると
「いいかげんにしろ!毎晩毎晩、身投げをしやがって……」
「へそ曲がり」
〈あいつはへそ曲がりだから、 遺言は反対のことをいっておいたほうがいいだろう〉
父親は、息子を枕元に呼ぶと、
「オレはもう長くはないから、今、いっておくが、 オレが死んでも葬式には金をかけず、遺体は菰(こも)に包んで、 川に捨ててほしい」といいつけました。
それから数日後、父親が死ぬと息子は、
「これまで親父のいうことにそむいてばかりばかりいたが、 こんどばかりは、 親父のいうとおりにしないわけにはいかないだろう」
いいねえ。昔も今も、普遍なジョークは通用するよね。オススメです!♪ (・∀・)