大学受験のとき、必死で覚えた「試験にでる英単語」=通称「しけ単」「でる単」。(・∀・) 「Intellect」「conscience」だったよね!(笑)
さてこの本。「昭和歌謡に登場する独特の言葉1008語を集めその世界観を1つずつ解説」もしこの昭和歌謡のテストがあったらかなりの高得点を取る自信がある。「流し」だから(笑)そのエッセンスを紹介しよう。
・夕陽の色を表すのに「しぼったばかり」とは、なんてすごい表現なんだろう!吉田拓郎が歌う「落陽」を初めて聴いた時の感動は忘れません。夕陽の鮮烈な赤い色が、ギュッとしぼられジュワリと海に溶けて染みていくように広がる、その「ジュワー」という音すら聞こえてくるような気がしたのです。それが歌詞の冒頭にくるこの衝撃。昭和44年生まれの私は、いわば歌謡曲が一番盛り上がっていた時代に幼少期と青春を送っています。テレビやラジオからこういった名曲が流れ、それに囲まれて育っているわけですから、思い入れが強いのは当然といえば当然。もう刷り込みみたいなものです。
・「ブルー・ライト・ヨコハマ」でほろ酔いのカップルが横浜の繁華街をただただ歩いている様子が描かれているのですが、「小舟のよう」このたった一言のすごさ!ふんわり寄って足元もおぼつかず、愛しそうに男性にしなだれかかり、その横顔を見上げる女性のトロンとした表情が浮かびます。しかも「今は幸せだけどなぜかこのあと絶対に別れそう」という、どこか拭いきれない不安定な心まで感じられて、胸が痛くなってしまうではありませんか。
・昭和歌謡を聴いていると、このようなクラクラする感動や「そのあとの展開」を妄想したくなる衝動が何度も起こります。そして次第に、歌詞をつぶさに追うのがクセになり「ムードいっぱいの言い回し」や「ぼんやりと共通するイメージを持つ言葉」「その時代を色濃く反映したキーワード」を発見するのがたまらなく楽しくなりました。それがきっかけとなってこの本に至ります。
【蒼い】
性的欲求を感じ始める年頃の少女、もしくは幼い色気を放つ男の子&女の子のオーラの色。10代半ばを過ぎたら急激に色の鮮やかさが失われる。選ばれし若者が、しかも限られた期間しか発することのできない、超限定色である。(「少女A」「蒼いフォトグラフ」)
【あの頃】
人生の中で一番「青春していたなあ」と思い出させる時期。懐かしんだところで、自分の気持のまま素直に動けた若い時が眩しく思えるばかりで、結果「今の自分ってどうなんだよ」とうしろ向きになってしまうのだが。(「舟唄」「初恋」「神田川」)
【ギター】
モテを意識した人がとりあえず手に入れたがる、一番ポピュラーな楽器。気持ちを伝えるのが下手な不器用なタイプほど上達が早く、口達者で世渡りが上手な人は手に入れた時点で満足し、部屋のオブジェと化す。(「真夜中のギター」「白いギター」)
その他、「アドレス」「アパート」「甘い」「アルバム」「うらら」「えくぼ」「エプロン姿」「帰りたくない」「奇跡」「くちづけ」「車のワイパー」「くわえ煙草」「酒場」「女学生」など。胸キュンのキーワードが満載!
昭和叙情絵師・上村一夫の作品も昭和を感じるねえ。超オススメです。♪