「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

BOOK〜『一夫一妻の神話 鳥の結婚社会学』(上田恵介)


一夫一妻の神話―鳥の結婚社会学

一夫一妻の神話―鳥の結婚社会学

またまたオモシロイ本を読みました。( ̄∇ ̄)著者は大学教授で鳥の専門家。245本もの研究論文を引用しながら野鳥の結婚と子育てにまつわる行動の解説をしているのだ。そのエッセンスを紹介しよう。


・鳥の世界では今でも不思議が一杯です。たとえば、オシドリのように、これまで一夫一妻を守ると考えられていた鳥類の中でも多くの例外があることが明らかになってきました。現在では、世界各地の鳥学者の研究や多くのアマチュアの観察によって、一夫多妻、一妻多夫はもとより、一夫一妻の鳥で生じる婚外交尾、自分で繁殖をせずに他人の子育てを手伝うヘルパー、カモメ類のメス同士のペア、子殺しなどが明らかにされるとともに、社会生物学(行動生態学)的観点から、そうした現象が「なぜ」生じるのか、ということが解明されつつあります。この本では、そうした鳥の世界のいろいろな謎を紹介します。


・ガンカモ科やキジ科の鳥のヒナは卵から孵化してはじめてみた「動く物体」を自分の母親として認知し、その認識を一生変えることはありません。たとえば、箱にひもをつけて、孵化(ふか)直後のヒナの前をひっぱってやれば、それでもう、その箱が「母親」になるのです。こうした行動様式を「刷り込み」とよびます。なぜ刷り込みによって親を決めるのでしょう?鳥にとって親とは、子とは何でしょう?


・鳥の世界では托卵鳥というものがいます。カッコウホトトギスなど、自分の卵を他人(仮親)の巣の中に産み落として、その鳥に育てさせるというちゃっかり屋の鳥たちです。この仲間は日本には四種類います。この四種とも托卵する相手はきちんときまっていて、ホトトギスがウグイスに、カッコウがモズやホオジロなどに托卵します。卵を産み込まれた鳥たちは、なぜ自分の子どもでもないカッコウホトトギスのヒナを育てるのでしょう?一方、仮親に育てられたヒナは仮親の姿を刷り込まれてはしまわないのでしょうか?仮親も好きこのんで他人のヒナを育てようとしているわけではありません。しかし托卵するカッコウホトトギスの方が、役者が一枚上なのです。托卵鳥の卵は普通仮親の卵より少し大きいものの、色や模様は仮親の卵に非常によく似ています。しかも仮親に気づかれないように卵を一個抜き取って、数合わせ(?)までするのです。


オシドリも一見したところ、一夫一妻の夫婦で仲良く巣を作り、ヒナを育てています。しかし、その中身は複雑で面白い現象のあることがいろいろとみつかってきました。カササギのオスはいったんつがいを作っても、自分のつがい相手を放ったらかしにして、時々遠くのなわばりのメスの所に行っては求愛行動を行うのです。


マガモなどのカモ類は、オスがメスに対して、求愛ディスプレイもなにも行わずにメスをおさえつけ、無理矢理、交尾を行う行動(強制交尾)をします。さて、妻の浮気が夫にばれたら、夫はどういう反応を示すでしょうか。マガモの妻が他のオスたちと「つがい外交尾」を行った場合、夫のマガモはすぐさま自分も、妻に対して普通の交尾ではなく、「強制交尾」を行うのです。


その他、「結婚相手も刷り込みで決まる」「かわいい子には旅をさせろ」「浮気もありますオシドリ夫婦」「浮気を防ぐにはどうするか」「つがいの絆が切れる時」「妻をめとらば二羽以上」「クジャクの尻尾はなぜ長い」「主夫と生活」など。一気に読める本。超オススメです。(⌒▽⌒)