「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

BOOK〜円谷幸吉の遺書に涙!(T_T)…『日本語の学校』

日本語の学校 声に出して読む〈言葉の豊かさ〉 (平凡社新書 463)

日本語の学校 声に出して読む〈言葉の豊かさ〉 (平凡社新書 463)

日本語って美しいよね。(^◇^)ここでも何度か紹介しているけど。


その日本語の良さは「声にした言葉」の中に詰まっているんだって。そういえば、朗読とか声に出して読む日本語とかも近年は流行っているよね。
日本人は、いかにして言葉に感情をのせ、人の心に伝えてきたのか。消えかかる「美質」に、この本の著者であり、日本を代表する演出家・鴨下信一氏が語る。岸辺のアルバム』、『ふぞろいの林檎たち』、『高校教師』等々演出しているんだって。スゴイ!(>_<)


取り上げられているのは、皆いい文章なんだけど、その中でも一番印象的だったのが、川端康成氏が絶賛した、昭和39年の東京オリンピックのマラソン銅メダル・円谷幸吉氏が自ら命を絶ったときに残された遺書。その全文を紹介しよう。



『遺書』 円谷幸吉


父上様、母上様、三日とろろ美味しゆうございました。干し柿、餅も美味しゆうございました。敏雄兄、姉上様、おすし美味しゆうございました。克美兄、姉上様、ブドウ酒とリンゴ美味しゆうございました。


巌兄、姉上様、しめそし、南ばん漬け美味しゆうございました。喜久蔵兄、姉上様、ブドウ液、養命酒美味しゆうございました。又いつも洗濯ありがとうございました。


幸造兄、姉上様、往復車に便乗させて戴き有難うございました。モンゴいか美味しゆうございました。正男兄、姉上様、お気を煩わして大変申しわけありませんでした。


幸雄君、秀雄君、幹雄君、敏子ちゃん、ひで子ちゃん、良介君、敦久君、みよ子ちゃん、ゆき江ちゃん、光江ちゃん、彰君、芳幸君、恵子ちゃん、幸栄君、裕ちゃん、キーちゃん、正祠君、立派な人になって下さい。


父上様、母上様。幸吉はもうすつかり疲れ切つてしまつて走れません。何卒お許し下さい。気が休まることもなく御苦労、御心配をお掛け致し申しわけありません。幸吉は父母上様の側で暮らしとうございました。


…カア〜!!!(T_T) 何度読んでも泣ける…。円谷氏の無念が胸を刺す…。名文だよね…。周りの期待とかプレッシャーに押しつぶされたのかな…。律儀で実直な円谷氏。時代背景も感じ取られるね。(>_<)


円谷幸吉
http://www004.upp.so-net.ne.jp/kuhiwo/dazai/tsumuraya.html