「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「ディズニーキャストざわざわ日記」(笠原一郎)

数々のディズニーランド本があるけど、この本は異色だっ!!!そうそう、これこれ!こういうハナシを読みたかったのよー!!!(笑)

「ハッピーなことばかりの仕事などない」清掃スタッフ(カストーディアルキャスト)が
描く、不安と夢の現場報告――これは私の実体験である」そのエッセンスを紹介しよう。
 
われわれも人間だから、手を抜くこともあれば、ミッションを忘れるほどゲストに対して怒りを覚えることもある。仲間と会社の愚痴も言い合うし、給料が安いと不満を持ったりもする。それは本書をお読みいただければ、おわかりになるだろう。
 
 ・私が本書をつづろうと思ったのは、これらのディズニー本に対する違和感が一因だ。本書は、そうした模範回答的なディズニーランド像に対する現場からの実態報告でもある。そして、本書にあるのは決して「創作された物語」などではなく、 すべて私が実際に体験したことである。 誤解のないように強調しておきたいのだが、私は東京ディズニーリゾートオリエンタルランドを批判したり、中傷したりする意図は毛頭ない。実際に現場で勤務をした立場から、見たまま、感じたままを率直に伝えたいという気持ちだけである。
 
・仕事が終わり、疲れ果てて舞浜駅に向かって歩いているとき、つい口ずさむのは岡林信康「山谷ブルース」だった。 「今日の仕事はつらかった。あとは焼酎をあおるだけ♪」『夢の国」を支えるのは、まごうことなき「肉体労働者」たちなのである。
 
「あの、すみません。今、何をしているんですか?」「ええ、夢のカケラを集めています」彼女の表情がパッと明るくなったかと思うと、「ありがとうございます」と頭を下げて去っていった。私も彼女たちの思い出作りに協力できたかと思うと、嬉しくなった。谷口さんはピーターパン空の旅の前で聞かれたときにはピーターパンが振りまいた落ち葉を集めています」というように場所や時期などによって臨機応変に回答を変えるのだという。幸せのカケラを集めています」 をもっぱら使っていた。ゲストからの受けはまずまずだったように思う。
 
・カストーディアルキャスト泣かせ、それがイレギュラー対応である。なかでも一番多いのは下吐処理だ。「夢の国」ではあるものの 、嘔吐処理はかなり多い。週に1回程度、発生する。
 
・実際にはカラスはたくさん生息している。ネズミの死がいを処理したこともある。基本的には嘔吐処理の場合と同様だが、 処理する前に必ずSVに連絡を入れる。死がいを入れたゴミ袋にはわかるように「ネズミの死がい」とメモ紙を貼り、 コンテナの所定の場所に置く。処理後は、所定の専用用紙に記入し、SVに提出する。ネズミだからといって、手厚く葬られることはない。
 
「意識して口角をあげるようにしてください。もしも笑顔ができないのなら、別の仕事に替わってもらいます」この仕事を始めてまだ2カ月しか経っていない。好きで応募したのにこんなことでカストーディアルキャスト失格の烙印を押されるわけにはいかない。それ以来、私は無理に笑顔を作るのではなく、とにかく口角をあげることを意識した無理に笑おうとするからぎこちなくなるのであって、口角をあげるだけなら、自然にできる。
 
東京ディズニーリゾートは以前から好きだったし、何よりも楽しく働くことができるのではないかと思った。自宅から近いのも好都合だった。キャストの収入が多くないことはわかっていたが、60歳からもらえる年金もある。なんとかなると考え、夢と希望を胸にディズニーキャストになろうと決意した
 
準社員のキャストは「M」「A」「G」「I」「C」という5つのグレードに分かれている。これは「マジック(魔法)のスペルから来ており、Cが最上位で、 I、G、A・・・・・・の順となる。
 
グレードによって時給が違う。基本時給は最上位のCが最高で1350円、最下位のMは960円である。キャストの半数以上はGキャストであり、私もそうだった。なお、私の基本時給は1070円(退職時)だった。
 
 ・「今度、時給が100円上がります。このことは決してほかのキャストに口外しない
でください」オフィスに行くと、SVは真剣な顔つきでこう告げた。思わず「100円ですか?」と口に出しそうになった。そして、その程度の値上げすら口外をするなと言う。時給の話など同僚のあいだでもしたことはなかったが、SVとしてはキャスト間で時給が話題になることを避けたかったのだろう。それにしても、たった10円では、1日7時間勤務したとしてもジュース1本分にもならない。
 
・彼はつねづね、「ディズニーは大好きだけど、オリエンタルランドは嫌いだ。いっそのことディズニー本社の直営になればいいのに」とボヤいていた。レストルームのキャスト控え室ではSVや会社への不満などと 「ここだけの話」が飛び交う。佐伯さんのこうした発言に、賛同する同僚も一定数いる。そこまで言わせている原因の大きなものは、前述したように仕事の要求水準が高い割に時給が高くないことへの不満であろう。ほかにも、しばしば納得のいかない指示が出たり、また指示を出す理由の説明が不十分であることも、キャストの不満を招いている。
 
 ・混雑時、もうひとつたいへんなのが、ゴミの対応である。入園者数とゴミの量はほぼ比例している。5万人を超えると、トラッシュカンがあっという間にいっぱいになる。たまりやすい場所だと30分程度で満杯になることもある。トラッシュカンからゴミをあふれさせることはあってはならないので、「ダンプ」というゴミ収集担当がてんてこ舞いとなる。パンクしそうなトラッシュカンがあれば、それに気づいたスイーパー担当から連絡があり、「ダンプ」担当が現場に急行する。
 
オリエンタルランドは日ごとの来園者数を予測し、それに応じたキャストの配置を組み立てる。しかし、当日の天候要因などにより、実際の来園者数や見込み来園者数が当初予測した数を下回ることがある。このような場合、余剰と思われるキャストに対して、当日の勤務中や勤務前に勤務中止を伝える。それが「解消」と呼ばれている。 当日、勤務前に解消になるのを「全解消」と呼び、働いた場合の6割の賃金が支払われる。また、当日勤務している途中に解消になるのを「一部解消」と呼び、 実際に勤務した時間分の賃金に加えて、「残り時間×時給」の半分の賃金が支払われる。
 
ディズニー的には「かぶりもの」という表現はもちろんNGである。これは内部でも徹底されていて、パークではそれを絶対に言ってはいけないし、冗談でもそんなことを言う人もいない。一緒に海外研修に行ったときの仲間にも「中身」を演じている人がいたが、自分から話さないのはもちろんのこと、聞いてはいけない空気が充満していて仲間内で話題にすることすらタブーだった。具体的にいうと、「かぶりもの系」ミッキーマウスミニーマウス、プルート、ドナルドダック、チップとデールなどなど、である。「生身系」は、白雪姫、 ピーターパン、アリス、ラプンツェル、ベルなどなど、となる。
 
・ワードローブビルの中にはコンビニとは別にキャストショップがある。ここではイベントが終わった後に売れ残ったグッズのほか、賞味期限が近くなったお菓子などを従業員向けに安い価格で販売している。商品によって割引率は異なるが、2~3割引から、賞味期限が近いお菓子になると9割引まである。 ディズニー好きにはたまらないショップである。出勤時、必ず立ち寄るワードローブビルの出入口横という好立地にあり、私はいつも立ち寄って何があるか確認していた。私には孫が4人いる。まだ幼い彼らにとって格好のプレゼントとなるからだ。また、ディズニーグッズやお菓子は、ビール会社の営業をしていたときに世話になった飲食店を利用する際のお土産としても重宝する。 
 
ディズニーランドで、「ネズミの死骸」は、笑えないけど、笑えるなー!(笑)やっぱりこの日記シリーズ、最高にオモシロイ!超オススメです。(=^・^=)