「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「トマトが切れれば、メシ屋はできる 栓が抜ければ、飲み屋ができる

  


トマトが切れれば、メシ屋はできる 栓が抜ければ飲み屋ができる


最近、ご縁をいただいた「居酒屋の神様」とも呼ばれる楽コーポレーションの宇野隆史社長。御年72歳で、いまだに週三回厨房に立っている。そのお人柄と魅力に魅了された。スゴイ人だ。何がスゴイって、スゴイことをカンジさせないのがスゴイ!(・∀・)


楽コーポレーションさんのお店とその200人を超えるお弟子さんのお店は、みな個性的。そして人間力、コミュニケーション能力が高い。ここに行くと、ただ安いだけのお店には行きたくなくなる。そんな魅力にあふれている。


この本は、氏が教える、誰もができる流行る店の作り方を紹介。小さな飲食店が大手や有力なライバルとの競争に打ち勝つために必要なメニュー戦略や接客、店主としての心構えとは?そのエッセンスを紹介しよう。



・飲食の世界に入って、オレももう40年以上になる。つくづく思うのはさ。やっぱり飲食業ってのは「楽な商売」なんだよね。農家の人は、おいしいトマトを作るために、畑を耕したり、草むしりをしたり、天候と闘ったりしてるわけでしょ。ビールだってすごい数の人がすごい研究を重ねて、立派な工場を建てて、おいしい製品を作り上げる、そんなふうに、たくさんの人が一生懸命時間をかけ作り上げたものを、お客さんに「おいしいでしょ」って食べたり、飲んだりしてもらうための努力なんて。努力のうちに入らないと思うんだよね。楽しいと思ってやらなきゃ。


・ウチの店の卒業生は、今や北海道から沖縄まで日本全国にいる。その子たちがみんな楽しみながら店をやっている。色んな工夫をして店をやって、オレを驚かせ刺激してくれる。それで、自分が育った「楽(コーポレーション)」の店を、いつまでもすごく大切に思ってくれている。オレにとっては、すごい財産なわけ。会社を大きくして全国展開なんかしても、こんな幸せは絶対に手に入らない


儲からない店はない。人間、誰でも毎日飲み食いする。それを提供する店が流行らないわけがない。だから店を始めるときには、「お客さんが来なかったらどうしよう」なんて考えてちゃダメだ。「これなら絶対来る」という自信がなくちゃ、店なんて持たない方がいい。


長く続けていくならオレは値段で努力するよりも、接客でお客さんを楽しませる商売をしたいと思うんだ。それで、接客するなら、女の子が来る店がいいな、と思うわけ。だって、自分が楽しいじゃない。だから、店を作るときは、どんな店をやったら流行るかばかりを考えるんじゃなく、自分自身が心から楽しいと思える店をやる。それが長く商売を続けていく基本だと思うよ。


店に「遊び心」を出す余裕がなくなるような無理な投資はしちゃいけない。これが、オレたちの商売が成功する秘訣だと思うんだ。


・オレたちのような小さな店は、流行りを追いかけるんじゃなくて、飽きられることがない「普通の店」を目指すべきなんだよね。


・店長や経営者に絶対欠かせないのは「イメージする力」なんだ。店長には、自分がイメージする力と、下で頑張っている子たちにイメージをさせる力の両方が大切なんじゃないかと思うんだ。


「おいしいですか?」なんて聞き方はしないよ。「おいしいでしょう!」一言、こう言うだけで、お客さんとの距離はグッと縮まるよね。どんな場所でも店に魅力があれば、お客さんは来る。お客さんを呼べないのは、立地の問題より店の力不足なんだよね。


お客さんが来たら、まず、食らいつかなきゃダメ。とにかく名前を覚える。近所に住んでいるかどうかをそれとなく確認する。これは、基本中の基本だと思うよ。追加オーダーを受けたときなどに、さりげなく「ご近所ですか?」なんて聞けばいい。「そうだよ」って返してくれたが、「じゃあお近づきのしるしにちょっとサービスしちゃいます!」なんて、冷やしトマトとかキュウリのおしんこなんか出してあげれば、喜ばれるわけじゃない。リピートしてくれる確率はグンと高くなる。


メニューの書き方一つにしても、売ろうという意識があれば、全然違ってくるはずでしょ。わざわざ毎日手間ひまかけるのは、そのとき最もお客さんに響いて、商品を売るのを助けてくれる言葉をメニューに載せるためなんだからね。お客さんに語りかける品書きを作らなければ、商品は売れないからね。字が上手とか下手だとかは関係ないんだよね。


・メニューを開発するときも、うちならではの接客をするために「こんなコロッケを作ろう」とか「お刺身をこう切ろう」とか「接客をするためのメニュー」を重視して考えている。メニューを100円、200円下げるよりも、お客さんを楽しませて得したという気分にさせる。そうすれば、安い値段で勝負しなくても、お客さんはまた店に来てくれるはずだ。


・例えば「関サバさようなら!これからは松輪サバです」と書いてアピールする。そもそも「松輪サバって何?」なんてお客さんが多いはずなんだから。それを品書きで教えてあげられれば親切だよね。「安いワインです」って出されるより、「おいしいワインだけど、一生懸命リーズナブルな値段で出しています」って言うほうが、お客さんは飲みたくなるでしょ。ちょっとしたネーミングの違いでも、客さんの気持ちをどこまで突き詰めて考えているかが、表れてしまう。そして、お客さんの気持ちを想像する力は、商売には絶対必要なんだ。

どんな時代でもさ。オレが接客で一番大切だと思っていることは、店に来るお客さんの名前を一人ひとり覚えることだ。これは、接客の基本中の基本。シンプルだけど、一番お客さんの心をつかんで、店の売上にもつながる方法だ。もうひとつ、大切にしたい接客術の基本がある。それは、相手に自分の名前を覚えてもらうことだ。


昨日の「いらっしゃいませ」と、今日の「いらっしゃいませ」は、絶対違うはずでしょ。ザーザー雨が降っている日だったら「こんな雨の中を来てくれてありがとう」という意味を込めた「いらっしゃいませ」になるはずで、その火の天気やお客さんの状況を考えるだけでも言葉に込める気持ちが変わらなきゃおかしいよね。


・オレたち小さな店の商売では、チラシなんて配ったってダメ。チラシを見せて割り引いてもらうだけだったら、店の人とのコミュニケーションなんて生まれない。そんなものに手間をかけるより、店に来てくれたお客さんのお酒のコップが空いたら「オレ、この芋焼酎好きなんですよね。サービスするんで飲んでみて!」なんて注いでごらんよ。お客さんはその店。絶対いいと思うよね。これだって「半額」サービスだけど、チラシとは全く違うでしょ。


・お客さんがオーダーのとき、「ハマチにしようか、マグロにしようか」なんて迷ってマグロだけを注文したら、「一切れハマチ付けときました!今日のおいしいから食べてください」なんて言って出す。刺し身一切れなて大したことないけど、お客さんはすごく嬉しいでしょ。おのずと店のファンになってくれると思うんだ。


・サンマが美味しい時期だったらメニューのサンマの塩焼きの上に「まかないで食べたんですが、お薦めです!」てな具合に「生の声」を書くんだ。飾らない、普通の言葉がいい。それが一番お客さんの心に届く


・焼きそばや麻婆豆腐のような一度に何人前に作れるような料理は、オーダーが一つ入ったら「今から熱々の麻婆豆腐を限定5人前作るので、手を挙げてください!」なんてやってもいい。手間は一人前も五人前もいっしょでしょ。


自分たちにワインの知識がないなら、外の「プロ」の力を借りればいい。おすすめワインの記事が載った雑誌を店内に置くだけで。商品の説明とアピールになる。必要な知識は、営業をしていくうちに、少しずつ付けばいいでしょ。シロウトにはさ、シロウトの売り方ってもんがあると思うんだよ。


オレは安さだけでお客さんを引き付けるような商売はやらない。理由は、つまんないから。値段が安いから人が来る店じゃなくて、行くと楽しいからつい足を運んでしまうような店をやりたいんだ。お客さんと楽しく話をしながらメニューを売る。そうすれば、自分も商売を楽しめるでしょ。


景気の悪いときってのはさ、ある意味、飲食店経営の最高の教科書だと思うんだ。危機感があって、みんな、真剣に考えるでしょ。それで「売る」ために考えついたことは全部やってみる。当たってもはずれても。それが、店の底力になっていく。オレは心の底から。そう思うんだ。


・(ベイシックス代表取締役 岩澤博)「自分の前に座ったお客さんは、全部自分のお客さんだと思え」おしぼり出しは、ホールのスタッフの仕事だなんて考える人もいるかもしれないけれど、おとうさんの店では、ホールと厨房の競争。自分より先にほかのスタッフが「目の前のお客さん」におしぼりを出したら「負け」だった。


店は、いかにお客さんに来てもらうかが大事なんじゃなくて、いかに帰ってもらうかが大事。お客さんに来てもらっても、また来てくれないのならば、永遠に新規のお客さんを開拓しなければならない。そうではなくて、お客さんを喜ばせ、楽しい気持ちで帰ってもらえば。また店に来たいと思ってもらえる。


「飲食店は健全な“ネズミ講”だよ」って、おとうさんはよく言う。店を好きになってくれたお客さんが次のお客さんを連れて来てくれて、そのお客さんがまた次のお客さんを連れてやって来る。


はあ〜名言だらけ。これを読むとお店をやりたくなります。飲食業の方、将来お店を持ちたい方、必読!超オススメです。(・∀・)



トマトが切れれば、メシ屋はできる 栓が抜ければ飲み屋ができる