いや〜この本、いいなあ。ニャンコの表紙もいいけど、中身がいいよお!ぜひ映像化して欲しいなあ!なぜニャンコが表紙なのかは、読み進めていくとわかる。
「私は、何度か過去に戻ったことがある−−。雑誌のインタビューで出会った初老の官能小説家が話し始めた内容は、想像を絶するものだった。これは、夢か、現実か、それとも彼の戯言なのか?」そのエッセンスを紹介しよう。
・老作家でポルノ小説家の佐々田順の小説を相当気に入ってしまった。それは佐々田が描くヒロインたちのなんとも言えぬ「可愛らしさ」にあった。当然、彼女たちは淫らな行為に没頭していくのだが、その間も、そうでないときでも、あるいは10代のヒロインでも30代のヒロインでも、読んでいてついその女性に微笑みかけたくなるような、可愛らしさをもっている。
・「過去に戻りたいと思ったことはありますか?もし過去に戻ったら、何をやり直したいですか?」「その質問に答えてもいいが、長くなる。何か他に聞いておくことがあったら、先にそちらを済ませておいてもらえるかな?」
・「三作目から九作目にかけて、ヒロインは年齢や設定がまちまちですが、それでもどこか、同じ女性のイメージが浮かんできます。最大公約数とも最小公倍数とも言えますが…。どこか丸みを帯びた、人なつこそうな顔をしています。鼻の下に皺がでるくらい、くしゃくしゃと嬉しそうに笑います。美人とは言えないけど、愛嬌と可愛らしさにあふれている。きちんとした女性の所作もできるし、言葉遣いも丁寧、でも忘れっぽかったり、ぼんやりしている面もあります」
・佐々田と菜津子はその日のうちに、そういう関係になった。「ずっと踏み出してみたかった一歩でした。菜津子は佐々田に嬉しそうにそう言った。この人なら私を変えてくれる。抑えていたものを解放してくれる。この人とならば、もっと女らしいい大人になれる。お会いした瞬間から、そんな漠然とした期待を持っていました。最初から、先生になら何を言われても「はい」とお答えできると、わかっていたんですよ」
・「何年もつきあって、死んで何年も経ってから、私は菜津子に初めて、狂おしいほど恋をしていたのだ、と思う」
・「好きな女の、出会う以前の姿を見る。もしこの体験を信じてもらえるならば、私を羨む男はたくさんいるだろう。そして私も、たまらない喜びを感じた。しかしそれが限定的なもので、触れることも語ることも、共に時間を過ごすこともできないという事実は、逆に残酷なほど寂しい」
・「菜津子。君に出会った日々を、何度でも繰り返したい。本当はもっと若いときから、一緒にいたかった」
・「いつもずっと見守ってくださって、ありがとうございます。私はきっと、大丈夫です先生も生きてください 菜津子」
ラストページの「その猫の命名権をください」のシーンは、感動!
バックギャモン、やりたくなっちゃったー!超オススメです。(・∀・)