私は知らなかったのだけれど、文豪・夏目漱石は、小説家として世に出る前に俳人として世に知られ出した頃で、2600もの句があったという。漱石がもっとも熱心に句作したという明治28年〜32年につくられた句の中からの28句。この頃、漱石は『吾輩は猫である』も『坊っちゃん』も書いていないし、イギリス留学もしていない。無名のただの人。その俳人・漱石の代表作を紹介しよう。
ちとやすめ張子の虎も春の雨
菜の花の中に糞ひる飛脚哉
端然と恋をしてゐる雛(ひいな)かな
人に死し鶴に生まれて冴え返る
菫(すみれ)ほど小さき人に生まれたし
明月や無筆なれども酒は呑む
むつとして口を開かぬ桔梗かな
凩(こがらし)や真赤になつて仁王尊
枯野原汽車に化けたる狸あり
天と地の打ち解(とけ)けりな初霞
漱石の句と南伸坊のイラストが合っているんだよねー!実に味わい深い。オススメです。(・∀・)!