「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「きりひと讃歌」(手塚治虫)

漫画の神様・手塚治虫。(・∀・)火の鳥」「ブラック・ジャック」「ブッダなど、何度も何度も読み返したなあ。

さて、氏のこの作品は、いままでタイトルは知ってたけど読んでなかった。しかし!感動!(T_T)読みながら時々涙が溢れた…。それらの偉大な作品に並ぶくらいの傑作ではないだろうか!あらすじはこうだ。


モンモウ病は、獣のように生肉を食べたくなり、やがて体中が麻痺して骨の形が変わり、犬のような風貌になる。そして1ヶ月以内に呼吸麻痺で死に至るという原因不明の難病。

M大学医学部でモンモウ病患者を担当していた青年医師小山内桐人は、この病気が川の水や土質に由来する中毒だとする仮説を立て、学生時代からの友人占部とともに研究を進めていた。一方、上司の竜ヶ浦教授はビールス(ウイルス)による伝染病説をとなえていた。

そんな折、小山内は竜ヶ浦指示により、担当患者の出身地、犬神沢へ赴くが、調査を重ねるうち、自らもモンモウ病に罹患してしまう。犬のような姿になりながらも、ついに仮説の証拠をつかんだ小山内。しかし彼を待っていたのは、陰謀と数奇な運命であった…。」


・「この顔だ!!この顔を見てくれ!!この犬相があるかぎり…私には永久にきょうのような失敗がつきまとっているんだ!!村の連中が私をまともな人間と認めてさえいたら、あんな珍事は起こらなかった。ね、そうでしょう。この顔でどこへ行こうと私は医者として失格だということですよ。顔!!人間の命をあずかる、この重大な仕事がうわっつらの人相だけで評価されちまうんだ!!顔だけでね!


・私は…おやじが外科医で…ちいさいときからおやじの助手みたいなことをして内科を専攻しながら…あの外科手術もおやじの伝授なんです。それ以外はなんいもできん男ですよ、私は。私から医者をのぞいたら、私はいったい何を生きがいに見つけたらいいんです。


バカ…バカめ!!バカめ…バカめ…バカめ!!おれは…手も足も出なかった…この子が死んでいくのをなんにもしてやれなかった。これでも医者かい…これでも医者だってのか、おれは!医者といううものが…キリストのように…手にふれただけで死人をよみがえらせ、病人をなおすことができるならともかく…十年も二十年も学問に人生をすりへらし…道具を使い、薬を使い、おまけに金までとってなおす保証もしなのが医者なら、くたばりやがれ!!医者なんか無用だっ!


医学会の権力争い、恩師を取るのか、正義を取るのか?人間の尊厳、人は姿形が変わった時に愛情も変化するのか?など、テーマは深い。傑作です。映画化してほしいなあ。オススメです。(・∀・)