「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

BOOK〜『余命半年 満ち足りた人生の終わり方』(大津秀一)

余命半年 満ち足りた人生の終わり方 (ソフトバンク新書 96)

余命半年 満ち足りた人生の終わり方 (ソフトバンク新書 96)

義父が亡くなって、五十日祭と納骨が10月1日に行われた。月日がたつのは早いものだ。義父が入院、検査をした際、余命は早くて二カ月、長くても正月は迎えられない可能性があるという医師の診断に立ち会った。そして最期を看取ることができた。


さあ、「あなたの余命は半年です」―もし、あなたが突然そう宣告されたら、どうするだろうか?この本は、終末期医療の苦痛を和らげる緩和医療に従事している大津秀一医師。医師免許を有する者は27万人以上存在するが、緩和医療医はごくごく少数なのだ。実は、テレビドラマのように、愛する人の名前を呼んで旅立つことは不可能なのだ!満ち足りた人生の終わり方とは?そのエッセンスを紹介しよう。



・あなたは、余命半年と宣告されたときに、その半年を丸々使えると思っていないだろうか。つまり、最後まで普通に話し、普通に食べ、普通に歩けると思っていないだろうか。「え?そうなんじゃないの?」と思ったあなたは認識が甘いかもしれない。多くの場合、半年後の死ぬ瞬間までに普通に活動できることはないのである。下手をすると苦痛のために、自分のことなどする余裕がなく、したいことがあるのに何も出来ないといういらだちのまま最期を迎えてしまうかもしれないのである。


・私はがんの終末期患者の苦痛を和らげる、「緩和医療」という医療に従事している医師ゆえに、これまで多くの方の最期に立ち会ってきた。人生や性格が千差万別であるのと同じように、最後の日々は人によって全然違う。苦しみ悶えながら、運命の皮肉を呪いながら死んでいった人もいた。一方で凪の海のように、全く心にさざ波さえなく、穏やかに逝った方もいた。次々と訪れる悲劇になすすべもなく、私の人生に良いことは一つもなかったと泣き続けて亡くなった方もいた。全てを失いながら、それでも最後まで自分の信念や生き方を貫いて、「私の人生は恵まれていた」そう言って息を引き取った方もいた。まさに人の数だけ物語があり、バッドエンドもあればハッピーエンドもあるのだ。


・すべては違った。ほとんどの人は、ありがとうなど最期の言葉は残せなかった。だいたい寝たきりになって意識がなくなってから、死ぬまで数日から一週間、場合によってはひと月以上なんてこともあった。最後の最後まで話せる人なんかいなかった


・良き、苦痛の少ない最期をむかえるために必要な4つのこと

1 病気の正しい理解
2 がん告知・終末期に対するシミュレーションおよび家族との良好はコミュニケーション
3 緩和医療を受けること
4 望まない延命治療を拒否すること


・がん患者さんに出る可能性がある苦痛症状には次のようなものがある。

痛み、全身倦怠感、食欲不振、便秘、不眠、呼吸困難、嘔気・嘔吐、歩行困難、せん妄(混乱)、胸水・腹水、浮腫

この中で、最も頻度が高いのはどの苦痛症状であるか?答えは「痛み」……ではないのだ!


・がん患者の苦痛症状(死の数日前)の頻度

痛み70%(約4人に一人は痛くない!)、全身倦怠感90%以上(ほとんどがしんどい)、食欲不振90%以上(ほとんどが食欲ない)、便秘70%、不眠60%、呼吸困難50%、嘔気・嘔吐50%、歩行困難75%以上、せん妄(混乱)40%、腹水25%

そう、実は痛みをおさえて、苦痛症状のトップに躍り出たのは、なんと「全身倦怠感」つまり「だるさ・しんどさ」と「食欲不振」つまり食べられないことなのだ。


・死の二か月前の苦痛症状

痛み50%(二人に一人は痛い!)、全身倦怠感10%以下、食欲不振10%程度、便秘10%程度、不眠10%以下、呼吸困難10%以下、嘔気・嘔吐10%以下、歩行困難10%以下、せん妄(混乱)10%以下、胸水10%以下

死の数日前と二カ月では全然苦痛症状が違うことが理解してもらえたであろうか。


緩和医療三種の神器とは、医療用麻薬、ステロイド、鎮痛補助剤をさす。


・残りの余命が数時間となった時である。最後まで痛みやせん妄が続く患者もいるが、必要な患者にしっかり「沈静」を行っている限り、たいていの患者は自然にもしくは鎮静によって意識はなく、昏睡状態にとなっているだろう。たとえ痰が絡んでも、声漏れがあっても患者さんはそれほど辛くないと考えられる。だから心配しないで、対応してほしい。また、聴覚は最後まで保たれると言われる。この二つの情報はとても大事なので、覚えておいてもらいたい。


・患者の意識がはっきりしているのは、多くの場合、余命一週間程度までであろう。また日常の動作が可能なのはそれより前、余命二週間くらい前までとなる。(もちろん個人差はあるが)そのことを念頭において、患者も家族も行動してほしいと切に願う。それを予期していなかったため、悲しい最期になってしまった例は少なくないのだ。


・いずれにせよ、結論として、臨終では、ドラマのように愛する人の名前を読んだ後、ガクッと死ぬことはできない。愛する人の名前は死ぬ直前には呼べない。だから、それより前にたくさん呼んでほしい。そして、たくさん一緒の時間を過ごしてほしい。家族一緒に過ごす時間を、医療者も家族も患者も、奪ってはいけない。


・私は人生の最期を見守る役を続けている。そのゴールにたどり着いた皆さんが、「私は精一杯生きました。悔いはありません」そう誇らしげに宣言する日を心待ちにしている。そのためには、「余命半年」を迎える前に、しっかりと準備をして来なければならないのである。


これは多くの人に読んでほしい。万が一のために真剣に考えてみたい。おススメです。